手順書の作り方
手順書の作り方|7つのステップと書き方のルール【型と記入例つき】
榎本 諒 ・ 更新 2026-10-14 ・ 約31分で読めます
「この作業、手順書にしておいて」と頼まれた。自分しかやり方を知らない作業がある。来月から担当が替わる。手順書を作るきっかけは、だいたいこの3つです。
書き始めると迷います。どこから書くのか。どこまで細かく書くのか。マニュアルと何が違うのか。Excelで作ればよいのか。
この記事では、手順書の作り方を7つのステップで説明します。書く項目の型と記入例、書き方のルール、直す前と直したあとの見本、作る道具の選び方、作ったあとの運用も入れました。パソコンの画面を操作する作業の手順書は自動で作れるので、その実例も載せています。
手順書とは
手順書は、1つの作業を、始めから終わりまで、やる順番に書いた資料です。読んだ人がその場で同じ動作をして、同じ結果になることを目指します。
「手順」は作業の順番そのものです。頭の中にあっても手順です。それを、ほかの人が読んで動ける形に書き出したものが「手順書」です。
手順書の特徴は3つあります。
- 範囲がせまい:扱うのは1つの作業だけです
- 作業をしながら読む:机や画面の横に置いて、1行読んで1つ動きます
- 細かい:「何を」「どこに」「いくつ」まで書きます
マニュアルとの違い
マニュアルは仕事の全体を扱います。仕事の目的、全体の流れ、担当、判断の考え方が書いてあります。手順書は、その中の1つの作業の動作を扱います。

| マニュアル | 手順書 | |
|---|---|---|
| 扱う範囲 | 仕事の全体 | 1つの作業 |
| 書いてあること | 目的、流れ、担当、判断の考え方 | 動作の順番、判断の基準、注意 |
| 読まれ方 | 仕事を覚えるときに通して読む | 作業をしながら1行ずつ読む |
| 細かさ | 考え方が分かる程度 | そのとおりに動ける程度 |
| 例 | 請求業務マニュアル | 請求書を発行して送る手順書 |
考え方と動作を1つの資料に混ぜると、作業中に読みにくくなります。手を動かしている人が知りたいのは「次に何をするか」だからです。考え方はマニュアルに、動作は手順書に分けます。仕事の全体をまとめる資料の作り方は、業務マニュアルの作り方で説明しています。
現場では、この2つの言葉は混ざって使われています。「マニュアル」と呼んでいる資料の中身が手順書、ということもよくあります。名前はどちらでもかまいません。読んだ人が同じように動けるかどうかで考えます。
作業標準書・チェックリスト・取扱説明書・規程との違い
似た資料がほかにもあります。
| 資料 | 役割 | 手順書との違い |
|---|---|---|
| 作業標準書 | 品質・時間・使う材料や道具など、作業の「守る基準」を決める | 手順書は、その基準を満たす動作の順番を書く。製造の現場では両方を作ることが多い |
| チェックリスト | やったかどうかを確認する項目の一覧 | やり方は書いていない。手順を知っている人が、もれを防ぐために使う |
| 取扱説明書 | 製品を作った側が、買った人に使い方と注意を伝える | 手順書は、使う側が自分たちの仕事に合わせて書く |
| 規程・ルール | 守ることを決める(何をしてよいか、誰が決めるか) | 手順書は、決まりを守って実際にどう動くかを書く |
作業標準書という言葉は、おもに製造の現場で使われます。製造や建設の現場で使う作業手順書の型は、作業手順書のフォーマットとテンプレートにまとめています。
チェックリストは手順書の代わりにはなりません。「バックアップを確認した」という項目があっても、確認のやり方を知らない人は確認できないからです。手順書の最後にチェックリストを付ける使い方が向いています。作り方はチェックリストの作り方で説明しています。
手順書を作る目的
手順書を作る目的は、誰がやっても同じ結果になるようにすることです。そこから次の効果が出ます。
- 作業の結果がそろう:人によってやり方が違う状態がなくなります。お客様に出す物や数字の質が、担当によって変わりません
- 作業が速くなる:迷う時間、人に聞く時間、やり直す時間が減ります
- ミスが減る:抜けやすい確認を、手順の中に入れておけます
- 1人しかできない作業がなくなる:担当が休んでも、辞めても、作業が止まりません
- 教える時間が減る:新人に同じ説明をくり返さずに済みます。教える人によって言うことが違う、ということも起きません
- 仕事を点検できる:決めたとおりにやっているかを、手順書と見比べて確かめられます。監査や内部統制で、作業のやり方の説明を求められたときの資料にもなります
立場ごとに見るとこうなります。
| 立場 | よくなること |
|---|---|
| 作業をする人 | 迷わない。聞きに行かなくてよい。自分のやり方が合っているか確かめられる |
| 教える人・作った人 | 同じ質問に答える回数が減る。休みを取りやすくなる |
| 会社 | 品質がそろう。引き継ぎが短くなる。作業の見直しの土台ができる |
最後の「見直しの土台」は見落とされがちです。手順が書き出されてはじめて、「この確認は2回やっている」「この転記は要らない」と気づけます。手順書を作る途中で、作業そのものが短くなることはよくあります。
担当が替わるときの資料として作るなら、手順書だけでは足りません。進行中の案件や関係者の情報も要ります。そちらは引き継ぎ資料の作り方にまとめています。
手順書に書く項目
手順書に書く項目は、ほぼ決まっています。大きく3つのかたまりに分かれます。

| かたまり | 項目 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|---|
| はじめに | 作業の名前 | 何をする手順書か。動詞で終える | 請求書を発行して送る |
| はじめに | 目的 | なぜこの作業をするのか。1〜2文 | 毎月の請求を、もれなく期日までに送る |
| はじめに | いつ、誰が | やる時期と、やる人の役割 | 毎月1〜3営業日。経理担当 |
| はじめに | 必要なもの | 道具、材料、資料、ID、権限 | 請求ソフトのID、当月の見積書、請求台帳 |
| はじめに | かかる時間 | 目安の時間 | 1社あたり約5分 |
| 手順 | 動作 | 番号を振って、やる順番に1つずつ | 3. 取引先を選ぶ |
| 手順 | 判断の基準 | 合っているかどうかを決める数字や状態 | 税込50万円以上なら課長に承認を依頼 |
| 手順 | 注意と理由 | やってはいけないこと、間違えやすい所、その理由 | 送信の前に宛先を声に出して読む(誤送信は取り消せないため) |
| 手順 | 画像や図 | 文だけでは伝わらない所 | 押すボタンの位置、正しい状態の写真 |
| おわりに | 完了の状態 | どうなっていれば終わりか | 台帳の当月の行が全部うまっている |
| おわりに | うまくいかないとき | よくあるつまずきと対処 | ログインできないときはパスワードの再発行を依頼 |
| おわりに | 連絡先 | 困ったときに聞く相手 | 経理課の共有アドレス |
| おわりに | 更新日 | いつ、誰が直したか | 2026年10月1日 経理課 |
抜けやすいのは「必要なもの」と「完了の状態」です。
必要なものが書いていないと、作業の途中で「このIDは誰に聞けばいいのか」と手が止まります。権限がなくてボタンが押せない、ということも起きます。先に全部そろえてから始められるように、はじめに置きます。
完了の状態が書いていないと、読む人は終わったのかどうかを自分で判断することになります。「これで終わりですか」という質問が来るなら、ここが抜けています。
記入例:請求書を発行して送る手順書
上の型に、経理の作業を入れた例です。内容は説明のために作った架空のものです。

1枚に収まっています。手順書は長いほどよいわけではありません。1つの作業が1〜2枚で読めると、作業中に開いてもらえます。
Word・Excel・PowerPointのひな形から始めたい場合は、マニュアル作成のテンプレートで配っているファイルが使えます。
手順書の作り方:7つのステップ

ステップ1:目的と読む人を決める
最初に、なぜ作るのかと、誰が読むのかを決めます。
目的は「新人が1人で月初の請求を終えられるようにする」のように、読んだあとにできることで書きます。「業務の標準化」のような大きな言葉だと、どこまで書けばよいかが決まりません。
読む人は1人に絞ります。
- その作業をやったことがない人が読むなら、道具の場所や画面の開き方から書きます
- ほかの作業は知っている経験者が読むなら、その作業に特有の所だけを書きます
- 代わりに入る人が年に数回読むなら、前回から変わった所が分かるように更新日を目立たせます
「誰でも分かるように」と全員を相手にすると、経験者には長すぎ、新人には足りない手順書になります。迷ったら、その作業をはじめてやる人に合わせます。
作る人も決めます。書くのは、その作業をいちばんよくやっている人です。確かめる人を別に1人決めておくと、ステップ6が進めやすくなります。何人かで分担するなら、型を先に決めて配ります。
ステップ2:作業の始まりと終わりを区切る
次に、どこからどこまでを1つの手順書にするかを決めます。
区切り方は「何が起きたら始めるか」と「どうなったら終わりか」です。
| 作業 | 始まり | 終わり |
|---|---|---|
| 請求書を発行して送る | 月が替わった | 全社分を送り、台帳に記録した |
| 新入社員のアカウントを作る | 人事から入社の連絡が来た | 本人がログインできた |
| 店を閉める | 最後のお客様が帰った | 鍵をかけ、警備を入れた |
範囲が広すぎると、手順書は長くなり、開かれなくなります。手順が20を超えそうなら、途中で2つに分けられないかを考えます。「請求書を発行する」と「入金を確認する」は、やる日が違うので別の手順書にします。
手順書にする作業が多いときは、順番を決めます。先に作るのは次のような作業です。
- 担当が1人しかいない作業
- 間違えたときの影響が大きい作業
- たまにしかやらず、毎回やり方を思い出している作業
- 新人が入ってすぐにやる作業
ステップ3:実際にやりながら、動作を全部書き出す
ここがいちばん大事なステップです。机の上で思い出しながら書かず、実際に作業をやりながら書き出します。
慣れた人ほど、動作を無意識にやっています。画面を下に送る。保存の前に日付を見る。棚の2段目から用紙を取る。思い出して書くと、こういう動作が抜けます。
やり方は3つあります。
- 自分で作業をしながら、1つ動くたびにメモする
- 別の人に横で見てもらい、動作を書き取ってもらう
- 作業を録画するか画面を記録して、あとから書き起こす
この段階では文を整えません。「見積書を開く」「金額を見る」と、動作を短く並べるだけにします。途中で気づいた「ここはよく間違える」「ここは人に聞いた」もメモしておきます。あとで注意や判断の基準として使えます。
書き出す単位は、そこで手を止めても意味が通じる1つの動作です。「請求書を作る」は大きすぎます。「取引先を選ぶ」「金額を入力する」「保存をクリック」まで分けます。
ステップ4:順番に並べ、準備・本体・後片付けに分ける
書き出した動作を、やる順番に並べます。そのうえで3つに分けます。
- 準備:必要なものをそろえる、画面を開く、道具を点検する
- 本体:作業そのもの
- 後片付け:記録する、道具を戻す、次の人に知らせる、元の状態に戻す
準備と本体を分けておくと、読む人は作業を始める前に必要なものを全部そろえられます。後片付けは省かれやすい所です。「設定を一時的に変えたら元に戻す」「鍵を返す」「終わったことを報告する」まで書いて、はじめて作業は終わります。
あわせて、確認をどこに入れるかを決めます。確認を最後にまとめると、間違いに気づいたときに最初からやり直すことになります。取り消せない動作の直前に入れます。送る前、登録する前、機械を動かす前です。
条件によって手順が分かれる所もここで整理します。「新しい取引先のとき」「いつもの取引先のとき」のように、条件を見出しにして分けます。分かれ道が3つを超えるなら、手順書を分けたほうが読みやすくなります。
ステップ5:型に入れて、文と画像で書く
並べた動作を、前の章の型に入れて書きます。はじめに置く項目を書き、手順に番号を振り、おわりに置く項目を足します。
文の書き方は、次の章のルールに合わせます。画像は、文だけでは伝わらない所に入れます。
- 押すボタンや入力する欄の位置
- 正しい状態と、だめな状態の見た目
- 物の置き場所、向き、つなぐ場所
画像を入れすぎると、探す時間が増えます。全部の手順に入れるかどうかは、読む人で決めます。はじめての人が読むなら多めに、経験者が読むなら迷う所だけにします。文字の大きさや余白、画像の置き方の整え方は、見やすい手順書の作り方で例を見せています。
ステップ6:やったことがない人に試してもらう
書いた本人は、自分の手順書の抜けに気づけません。書いていない所を、頭が勝手に補ってしまうからです。
その作業をやったことがない人に、手順書だけを見て最後までやってもらいます。横で見ているだけで、口は出しません。
見る所は4つです。
- どこで手が止まったか
- どこを読み返したか
- 手順書に書いていない動作を、自分で考えてやった所はないか
- できあがった結果が、自分がやったときと同じか
手が止まった所と、結果が違った所を直します。直したら、できれば別の人でもう1回試します。同じ人は2回目には覚えているので、抜けが見つかりません。
すぐに全員へ配らず、1〜2週間だけ少ない人数で使ってもらう方法もあります。使った人から「ここが分からなかった」「ここは実際と違う」を集めて直してから、本番にします。
ステップ7:すぐ開ける場所に置いて、直し続ける
できた手順書は、作業をする場所から1回で開ける所に置きます。置き方と直し方は、あとの「作ったあとの運用」で説明します。ここで決めるのは、置き場所と、直す担当と、次に見直す日の3つです。
わかりやすい手順書の書き方:11のルール
1. 1つの手順に動作は1つ
「取引先を選んで金額を入力し、保存を押す」は3つの動作です。3つの手順に分けます。1つの手順が短ければ、作業と手順書を行き来しても、どこまでやったかを見失いません。
2. 文は動詞で終える
「取引先の選択」ではなく「取引先を選ぶ」と書きます。名詞で止めると、やることなのか見出しなのかが分かりません。「〜してください」「〜していただきます」も要りません。「選ぶ」「入力する」「クリック」で止めます。
3. 判断の基準を数字で書く
「金額が大きいとき」は「税込50万円以上のとき」と書きます。「しっかり締める」は「カチッと音がするまで回す」と書きます。数字にできないものは、見て分かる状態で書きます。
手順書が使われなくなる原因になりやすいのが、判断を読む人に任せている所です。「必要に応じて」「適宜」「問題がなければ」と書いた所は、読む人が毎回誰かに聞きに行くことになります。
4. 条件を先に書く
「承認を依頼する。ただし50万円未満のときは要らない」は順番が逆です。読む人は依頼してから、ただし書きに気づきます。「50万円以上のとき:課長に承認を依頼する」と、条件を先に書きます。
5. やる順番のとおりに書く
「送信する前に、宛先を確認する」は、読む順番とやる順番が逆です。「宛先を確認する」「送信をクリック」の順に、手順として並べます。
6. 画面や現物に書いてある言葉をそのまま使う
ボタンに「登録する」と書いてあるなら、「『登録する』をクリック」と書きます。「保存ボタン」と言い換えると、読む人は画面の中から「保存」を探します。棚のラベル、帳票の欄の名前も同じです。
7. 理由を1文添える
なぜその動作をするのかが分かると、読む人は省いてよいかどうかを自分で考えずに済みます。「締め日を過ぎると直せないため、ここで金額を確かめる」のように書きます。理由が分かっていれば、状況が少し違っても対応できます。
8. やってはいけないことは、その手順の手前に書く
取り消せない動作、けがや事故につながる動作は、その手順のすぐ前に書きます。最後にまとめて書いても、読む人がそこに着く前に作業は終わっています。色を変えるか囲みにして、本文と見分けが付くようにします。
9. 専門の言葉には説明を付ける
社内だけで通じる略語、業界の言葉は、最初に出てきた所で説明します。「締め(その月の入力を確定して、変更できなくすること)」のように、かっこで足します。新人や他部署の人が読む手順書では、とくに効きます。
10. 誰が、いつ、何を、どこに、を抜かさない
日本語の文は主語や目的語を省けます。手順書では省きません。「確認して保存する」は、「経理担当が、金額を見積書と見比べ、請求ソフトの『保存』をクリック」まで書きます。何人かで進める作業では、手順ごとに「誰が」を書きます。
11. 結果を書く
動作のあとにどうなるかを書きます。「『送信しました』と表示される」「ランプが緑になる」。読む人は、自分の動作が合っていたかをその場で確かめられます。違う結果になったら、そこで止まれます。
直す前・直したあとの見本
同じ作業を、ルールを当てはめて書き直します。

| 直す前 | 当てはめたルール | 直したあと |
|---|---|---|
| 内容を確認のうえ | 6・10 | 請求書の宛名と金額を、見積書と見比べる |
| 金額が大きい場合は上長にも確認する(最後に書いてある) | 3・4・5 | 税込50万円以上なら、送る前に課長に承認を依頼する |
| 早めに先方へ送付し | 3 | 毎月3営業日までに、PDFをメールで送る |
| 適宜台帳に記録しておくこと | 2・3・6 | 送った日を、請求台帳のD列に入力する |
直したあとのほうが字数は多くなります。それでも作業は速くなります。読む人が考えたり、聞きに行ったりしないからです。
あいまいな言葉の言い換え
手順書を書いたら、次の言葉を探します。見つけたら、数字か、見て分かる状態に変えます。
| あいまいな言葉 | 言い換えの例 |
|---|---|
| 早めに | 3営業日前までに |
| しばらく待つ | 「完了」と表示されるまで待つ(約30秒) |
| 適量 | 200ml(カップの線まで) |
| 定期的に | 毎週月曜の朝に |
| 必要に応じて | 件数が10件を超えたら |
| きちんと確認する | 宛名と金額の2か所を、見積書と見比べる |
| 多めに | 予定の数に5部を足して |
| 上長に確認 | 課長にチャットで依頼し、返事を待つ |
| なるべく | (削るか、やる・やらないをはっきり書く) |
業務別の手順書の例
どんな作業が手順書になるのかを、仕事ごとに並べます。区切り方と、数字で書きたい判断の基準の例です。
| 仕事 | 手順書の題名の例 | 数字で書く判断の基準の例 |
|---|---|---|
| 経理 | 経費の精算を承認する | 領収書が要る金額、申請の締め日 |
| 総務 | 新入社員のアカウントを作る | 入社日の何営業日前までに作るか |
| 営業事務 | 見積書を作って送る | 値引きに承認が要る割合 |
| 店舗 | レジを締める | 過不足がいくらを超えたら報告するか |
| 情報システム | パソコンを初期設定する | 入れるソフトの一覧、設定の値 |
| カスタマーサポート | 返品の依頼を受け付ける | 受け付けられる日数、返金の方法 |
題名は「〜する」で終えます。読む人は、やりたいことの言葉で手順書を探すからです。「アカウント管理」より「新入社員のアカウントを作る」のほうが見つかります。
どこまで細かく書くか
全部の作業を同じ細かさで書く必要はありません。やる回数と、やる人で決めます。

- 毎日やる作業:体が覚えます。細かい手順書は開かれません。判断の基準と、間違えやすい所だけを1枚にします
- 人がよく入れ替わる作業:はじめての人が読む前提で、画像を入れて細かく書きます。アルバイトや派遣の人が入る現場、当番で回す作業がこれに当たります
- 年に1回、月に1回の作業:やった本人も次には忘れています。年末調整、棚卸し、年度の切り替え。いちばん細かく書く価値があるのはここです。やった直後に、気づいたことを書き足しておきます
Excel・Word・PowerPoint・ツールのどれで作るか
手順書は、会社にある道具で作れます。向いている所が違います。

| 道具 | 向いている手順書 | 気をつける所 |
|---|---|---|
| Excel | 番号・動作・基準・確認欄を表にする手順書。手順の入れ替えが多いもの | 画像を貼ると位置がずれやすい。印刷で切れやすい |
| Word | 理由や注意の文が多い手順書。印刷して配るもの | 表と画像を細かく並べるのは手間がかかる |
| PowerPoint | 写真や図が中心の手順書。1枚に1手順で見せるもの | 枚数が増えると、目的の手順を探しにくい |
| Googleドキュメントなど | 何人かで同時に直す手順書。URLで配るもの | 細かいレイアウトは苦手 |
| 手順書を作る専用の道具 | 画像や説明文を自動で入れる。更新と共有が楽 | 入れる手間がある。費用がかかるものもある |
Excelで作るときの型
Excelで作るなら、1行に1つの手順を書き、列を次のように分けます。
| 番号 | 動作 | 判断の基準・注意 | 画像 | 確認 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 請求ソフトにログインする | □ | ||
| 2 | 「請求書を作成」をクリック | 画面の画像 | □ | |
| 3 | 金額を見積書と見比べる | 違うときは営業担当に確認 | □ |
表の上に、作業の名前・目的・必要なもの・更新日を書く欄を作ります。動作の列には1つの動作だけを書きます。1つのセルに長い文を詰め込むと、表にした意味がなくなります。
Excelで画面の画像を入れるときは、「挿入」タブの「スクリーンショット」で、開いているウィンドウをそのまま貼れます。WordとPowerPointにも同じ機能があります(スクリーンショットまたは画面の領域を挿入する)。
列の幅や行の高さ、印刷したときの見え方の整え方は、見やすい手順書の作り方でExcelの例を使って説明しています。
生成AIに下書きを手伝ってもらう
文を整える所は、生成AIに手伝ってもらえます。ステップ3で書き出した動作のメモを渡し、「1つの手順に動作は1つ、動詞で終える形に整えて」と頼む使い方です。あいまいな言葉を探してもらう、抜けていそうな手順を挙げてもらう、という使い方もできます。
任せられないのは中身です。AIはあなたの職場の作業を見ていません。もっともらしい手順を足すことがあります。出てきた文は、実際の作業と1行ずつ見比べて確かめます。取引先の名前や個人の情報を入力してよいかどうかは、会社の決まりに従います。
システムの手順書の作り方
会計ソフト、勤怠システム、受発注のシステムなど、パソコンの画面を操作する作業の手順書です。「システム手順書」と呼ばれることもあります。
書く項目は、ここまでの型と同じです。画面の操作に特有の、足しておきたい所があります。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 開き方 | システムのURL、ログインのしかた、パスワードを忘れたときの手続き |
| 権限 | この作業ができる人。ボタンが表示されないときの理由の多くは権限 |
| 使える環境 | 使えるブラウザ、社外から使えるかどうか |
| 入力の決まり | 半角か全角か、日付の形、必ず入れる欄 |
| 画面の言葉 | ボタンやメニューの名前を、画面のとおりに |
| 結果 | 押したあとに出る表示。エラーの文と直し方 |
| やり直し方 | 間違えて登録したときに、取り消せるのか、誰に頼むのか |
| 締め切り | 何日の何時までに終える必要があるか |
システムの手順書には、目次を付けます。1つのシステムで何本も手順書ができるからです。「有給休暇を申請する」「申請を取り消す」のように、やりたいことの名前を並べます。
システムの手順書がむずかしいのは、作ることより保つことです。画面はシステムの更新で変わります。画像が古くなった手順書は、1回で信用されなくなります。そのため、画像の撮り直しにどれだけ手間がかかるかが、道具選びの決め手になります。画面の操作を説明する資料の構成や目次の見本は、操作マニュアルの作り方にまとめています。
なお、Windowsには以前「ステップ記録ツール」があり、クリックのたびに画面を撮ってくれました。マイクロソフトはこのツールを非推奨としています(Steps Recorder deprecation)。
実例:画面操作の手順書を自動で作る
パソコンの画面を操作する手順書は、操作を記録して自動で作る方法があります。ReQuill で実際に作ったものを載せます。ReQuillはChromeに追加して使う無料の拡張機能です。記録を始める、いつも通りに操作する、記録を止める。この3つでマニュアルができます。
題材は、経営ダッシュボードのサンプル画面です。「先月の、看護職員の稼働率を表示して、CSVにする」という作業を記録しました。データはすべて架空のものです。
やった操作は、タブを切り替える、期間を選ぶ、職種を選ぶ、ダウンロードを押す、の4つです。記録を止めると、画面を開く所から数えて5つのステップと、完了の画面ができました。そのうち4枚を載せます。画像には手を加えていません。




この記事の書き方のルールと比べます。
- 1つのステップに動作は1つになっている(ルール1)
- 「『職員別』をクリック」と、画面の言葉のまま、動詞で終わっている(ルール2・6)
- 最後に、終わったときの画面がある(ルール11と、型の「完了の状態」)
- 1ステップごとに、画像を撮る、貼る、印を付ける、文を書く、の手作業をしていない
一方で、記録しただけでは手順書として足りない所があります。編集の画面で人が足します。
| 足りない所 | どう足すか |
|---|---|
| 目的、いつ誰がやるか、必要なもの | 表紙の題名と概要はAIが下書きします。概要を直して書き足します |
| 判断の基準、理由、注意 | 各ステップの「補足を追加」に書きます。「稼働率が50%を下回る職員がいたら、管理者に知らせる」のような文です |
| 写ってはいけない情報 | 「隠す」で範囲を選んで塗りつぶします。最初から架空のデータで操作するほうが確実です |
| 間違えて押した操作 | そのステップを削除します。順番は並べ替えられます |
| 画面の外でやること | 記録できるのは、パソコンのChromeで開く画面だけです。紙の作業、電話、デスクトップのアプリの操作は、補足に文で書くか、別の手順書にします |
できたマニュアルはURLで共有でき、受け取った人は登録なしで読めます。PDFにもできます。説明文は日本語・英語・ドイツ語・ポルトガル語に切り替えられます。記録・編集・共有・PDFは無料で、カードの登録は要りません。
画面が変わったときは、もう一度操作して記録し直します。撮り直しの手間が小さいので、「画像が古いまま」になりにくくなります。
製造・現場の作業手順書で足すこと
機械を使う作業、物を作る作業、体を動かす作業の手順書は「作業手順書」と呼ばれます。ここまでの作り方に、安全と品質の項目が足されます。
- 手順ごとの「急所」(安全・品質・やりやすさのために外せない点)
- 起きうる危険と、その防ぎ方
- 使う保護具
- 作業を始める前の点検
- 異常が起きたときに止める方法と、知らせる相手
法令でも、作業手順は教える事項に入っています。労働安全衛生規則の第35条は、労働者を雇い入れたときや作業の内容を変えたときに行う教育の事項の1つに「作業手順に関すること」を挙げています(労働安全衛生規則|e-Gov法令検索)。教える内容を紙や画面に残しておけば、誰が教えても同じ内容になります。
現場の手順書では、写真や動画が文より伝わる場面が多くなります。持ち方、角度、力の入れ具合は、文では書ききれません。作業手順書の型と、そのまま使えるファイルは、作業手順書のフォーマットとテンプレートで配っています。
作ったあとの運用:使われる手順書にする
手順書は、作った日がいちばん正しく、そこから古くなっていきます。作ったあとに決めておくことがあります。
すぐ開ける場所に置く
作業をする場所から、1回で開けるようにします。
- パソコンの作業:共有フォルダか社内のポータルに置き、チャットの固定メッセージにURLを貼る
- システムの作業:システムのお知らせ欄やヘルプからリンクする
- 現場の作業:作業する場所に紙を貼る。または、貼ったQRコードから開けるようにする
メールに添付して送るだけだと、次に必要になったときに探せません。置き場所は1つにして、古い版を残さないようにします。
探しやすさも置き方の一部です。ファイルの名前は、作業の名前と同じにします。「手順書_最新版2」ではなく「請求書を発行して送る」です。手順書が10本を超えたら、仕事ごとに並べた一覧を作ります。
直す担当と、見直す日を決める
- 誰が直すか:人の名前ではなく役割で決めます。「経理の請求担当」のように決めておけば、異動があっても引き継がれます
- いつ見直すか:システムの更新のあと、決まりが変わったとき、年度の変わり目。年に1回の作業は、やった直後に見直します
- 直した記録:更新日と、何を変えたかを1行残します。読む人は、前に読んだときから変わった所が分かります
気づいた人がその場で直せるようにする
手順と実際が違っていることに最初に気づくのは、作業をしている人です。その人が直せないと、「手順書は古いから見ない」になります。
気づいた人がその場で直す。直せない決まりなら、気づいたことを書き込める場所を作ります。手順書の最後にコメントの欄を作る、チャットに「手順書の直し」の部屋を作る、という形です。
質問への返し方も効きます。作業について聞かれたら、口で答える前に手順書の場所を伝えます。手順書に書いていないことなら、答えたあとで手順書に足します。これを続けると、手順書が答えの置き場所になります。
使われているかを確かめる
配ったあと、1か月ほどで確かめます。
- 手順書を見て作業している人がいるか
- 同じ質問がまだ来ているか
- 手順書と違うやり方が広まっていないか
違うやり方が広まっているなら、手順書が間違っているか、手順書のやり方がやりにくいかのどちらかです。現場のやり方のほうがよければ、手順書を直します。手順書は、仕事を速く正しくするための道具です。作業が増えるだけの手順が入っていたら削ります。
自分たちで作るか、外に頼むか
手順書の作成を引き受ける会社もあります。作業を聞き取り、撮影し、文にまとめてくれます。
| 自分たちで作る | 外に頼む | |
|---|---|---|
| 向いている場面 | 社内の日々の作業。よく変わる作業 | 本数が多く、期限がある。作る人の手が空かない。お客様に配る資料 |
| よい所 | 作業を知っている人が書くので正確。変わったらすぐ直せる | 書き方がそろう。第三者が聞き取るので、抜けに気づきやすい |
| 気をつける所 | 時間が取れず、後回しになりやすい | 費用がかかる。納品のあとに直す人を社内に決めておく必要がある |
外に頼んでも、作業を説明する時間と、できたものを確かめる時間は社内で要ります。納品のあとの更新も社内の仕事です。頼む前に、直す担当を決めておきます。
作る時間が取れないことが理由なら、先に試せることがあります。対象を「担当が1人しかいない作業」に絞る。1本を1枚に収める。画面を操作する作業は記録して作る。外に頼むかどうかは、そのあとで決めても遅くありません。
配る前のチェックリスト
- 題名が「〜する」で終わり、何の作業かが分かる
- 目的と、いつ誰がやるかが書いてある
- 必要なもの(道具・資料・ID・権限)が、手順の前に書いてある
- 作業の始まりと終わりがはっきりしている
- 1つの手順に動作は1つになっている
- 文が動詞で終わっている
- 「早めに」「適宜」「必要に応じて」が残っていない
- 条件が、動作より先に書いてある
- 取り消せない動作の手前に、確認と注意がある
- 画面や現物の言葉を、そのまま使っている
- 完了の状態が書いてある
- 困ったときの連絡先と、更新日が書いてある
- 個人の情報や社外に出せない情報が、画像に写っていない
- やったことがない人が、手順書だけで最後までできた
よくある質問
手順書の作り方のコツは何ですか
3つあります。実際に作業をやりながら動作を書き出すこと。1つの手順に動作を1つだけ書くこと。その作業をやったことがない人に試してもらうこと。文の上手さより、この3つをやったかどうかで差が出ます。
作業手順書は何で作るのですか
会社にあるExcel・Word・PowerPointで作れます。番号と動作と確認欄を表にするならExcel、文が多いならWord、写真が中心ならPowerPointが向いています。現場の作業は、写真や動画を撮りやすいスマートフォンやタブレットで作る方法もあります。パソコンの画面を操作する作業は、操作を記録して自動で作る道具が使えます。
作業手順書の作成の例を教えてください
この記事では、経理の「請求書を発行して送る手順書」を記入例として載せています。作業の名前、目的、いつ誰が、必要なもの、番号を振った手順、完了の状態、連絡先、更新日を1枚に入れた形です。製造や現場の作業手順書の例は、作業手順書のフォーマットとテンプレートに載せています。
マニュアル作りが上手い人の特徴は何ですか
読む人を1人に決めてから書いています。自分の当たり前を疑い、無意識にやっている動作まで書き出しています。そして、書いたあとに必ず別の人に試してもらっています。もう1つ挙げるなら、最初から完璧を目指さず、出してから直しています。
手順書とマニュアルはどちらを先に作ればよいですか
困っている作業があるなら、手順書を先に作ります。1つの作業に絞れるので、短い時間で作れて、すぐに役に立ちます。手順書が何本かたまってから、それらをつなぐ全体の流れや考え方をマニュアルにまとめる順番が進めやすくなります。
手順書をExcelで作ってもよいですか
作れます。1行に1つの手順を書き、番号、動作、判断の基準、確認の列に分ける形が向いています。手順の入れ替えや追加が楽です。画像を多く入れると位置がずれやすく、印刷で切れることがあるので、配る前に印刷の見え方を確かめるか、PDFにします。
手順書は1本で何ページくらいがよいですか
決まったページ数はありません。目安は、1つの作業が1〜2枚、手順の数が20までです。それを超えるなら、作業の区切りが大きすぎます。やる日や、やる人が変わる所で2本に分けます。
無料で手順書を作れるツールはありますか
会社にExcelやWordがあれば、それで作れます。Googleドキュメントやスプレッドシートも使えます。画面を操作する作業を自動で手順書にする道具にも、無料で使えるものがあります。ReQuillは、記録・編集・共有・PDFが無料で、カードの登録は要りません。
手順書があるのに、手順どおりにやってもらえません
理由を先に確かめます。手順書の場所が分からない。内容が古い。手順書のやり方より速いやり方がある。この3つが多い理由です。場所は1つにまとめ、古い所は直し、現場のやり方のほうがよければ手順書をそちらに合わせます。理由を1文添えておくと、省かれにくくなります。