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作業手順書のフォーマット|Excel・Wordの無料テンプレートと項目ごとの書き方【記入例つき】

榎本 諒 ・ 更新 2026-10-14 ・ 約42分で読めます

作業手順書を作ることになり、まずフォーマットを探している。そういう方に向けた記事です。

フォーマットは、探せばいくらでも見つかります。困るのはそのあとです。欄はあるのに何を書けばよいか分からない。自分の職場の作業には欄が合わない。埋めてはみたものの、現場で読まれない。

この記事では、作業手順書のフォーマットをExcelとWordで配ります。あわせて、欄ごとの書き方を直す前・直したあとの見本で説明し、製造・事務・パソコン作業・清掃や点検の4つの用途で記入例を載せました。

作業手順書のフォーマット(無料ダウンロード)

先にファイルを置きます。登録は要りません。自由に書き換えて使えます。

Excel版には7枚のシートが入っています。

シート中身向いている作業用紙
使い方シートの説明と、書くときの決まり——
写真つきの型手順・急所・急所の理由・写真・基準の5列製造、組立、梱包、設備の操作A4横
文字だけの型手順・注意と判断の基準・確かめ方・済・備考の5列事務、受付、経理、総務A4縦
チェック表の型手順・できあがりの基準と、1週間分のチェック欄清掃、点検、開店と閉店の作業A4横
記入例(写真つき)製品の箱詰めと封かん—A4横
記入例(文字だけ)請求書を発行してメールで送る—A4縦
記入例(チェック表)給湯室の終業時の清掃—A4横

Word版には、文字だけの型、写真つきの型と、それぞれの記入例が入っています。チェック表の型は、日付の列を横に増やして使うのでExcel版だけにしました。

どの型も、横幅がA4の1ページに収まる設定にしてあります。手順の表の見出しは、2ページ目以降にも印刷されます。記入例の会社名・人名・数字は、すべてこの記事のために作った例です。

作業手順書のフォーマットは、頭の欄・手順の表・末尾の欄の3つの部分でできている

フォーマットは3つの部分でできています。作業を始める前に読む「頭の欄」、作業しながら見る「手順の表」、困ったときと直すときに見る「末尾の欄」です。それぞれの欄の書き方は、このあと順に説明します。

作業手順書とは

作業手順書は、1つの作業を、はじめから終わりまで、やる順番に書いた文書です。「箱に詰めて封をする」「請求書を発行する」「閉店後にレジを締める」のように、1人が続けて行うひとまとまりの作業が単位になります。

書いてあるのは次の3つです。

  • 何を、どの順番でやるか
  • それぞれの動作で、どこに気をつけるか
  • どうなっていれば合っているか

作業手順書を作る目的

目的は、誰がやっても同じ結果になることです。そこから4つの効果が出ます。

  • 品質がそろう:人によるやり方の違いが減り、不良や手戻りが減ります
  • 教える時間が減る:新人は手順書を見ながら練習でき、教える人は急所だけを伝えれば済みます
  • 安全に作業できる:危ない動作と、その避け方が紙に残ります
  • その人しか知らない状態がなくなる:担当が休んでも、異動しても、作業が止まりません

もう1つ、見落とされがちな効果があります。改善の土台になることです。やり方が人ごとに違う状態では、どこを直せば良くなるのかを比べられません。手順書で今のやり方を1つに決めると、「手順3を変えたら時間が縮んだ」と比べられるようになります。

作業手順書が使われる場面

  • 新人や応援に来た人に、作業を教えるとき
  • 月に1回、年に1回しかやらない作業をするとき
  • 担当者が休んで、代わりの人がやるとき
  • 不良や事故が起きて、やり方を見直すとき
  • 外国人スタッフや派遣スタッフが入るとき

作業標準書・作業要領書・マニュアル・チェックリストとの違い

似た名前の文書がいくつかあります。会社によって呼び方が入れ替わるので、名前ではなく「何が書いてあるか」で見分けます。

マニュアルは仕事の全体、作業標準書は守る条件と基準、作業手順書は1つの作業の順番、チェックリストは確認を扱う
文書書いてあること読む場面例
マニュアル(業務マニュアル)仕事の全体。目的、流れ、判断の基準、担当仕事を覚えるとき出荷業務マニュアル
作業標準書守る条件と基準。品質の規格、標準の時間、設備の条件やり方を決めるとき、監査のとき梱包工程の作業標準書
作業要領書作業のやり方とコツ。手順書とほぼ同じ意味で使う会社が多い作業するとき封かん作業要領書
作業手順書1つの作業の順番と、動作ごとの急所作業するとき製品Aを箱に詰めて封をする
チェックリストやったかどうかを確かめる項目作業の前後出荷前の確認表

作業標準書が「何を守るか」を決め、作業手順書が「そのためにどう手を動かすか」を書く、という関係です。たとえば標準書に「テープの折り返しは5cm以上」とあり、手順書には「箱の底をH字に貼る。端を側面に5cm以上折り返す」と動作で書きます。

小さな職場では、この2つを分けずに1枚で持っていることも多くあります。分けるかどうかより、作業する人がその1枚を見て手を動かせるかのほうが大事です。

マニュアルと手順書の関係や、業務の全体をまとめる文書の作り方は、業務マニュアルの作り方で扱っています。チェックリストだけを作りたい場合は、チェックリストの作り方が近道です。

あわせて読みたい 業務マニュアルの作り方|6つのステップと構成の見本、事務の仕事での書き方の例 業務マニュアルの作り方を、業務の洗い出しから運用まで6つのステップで説明します。手順書や操作マニュアルとの違い、誰が作るか、構成と目次の見本…

安全衛生の教育と作業手順

製造や建設などの現場では、作業手順は安全衛生の教育とつながっています。

労働安全衛生規則の第35条は、労働者を雇い入れたときや作業の内容を変えたときに行う教育の事項を挙げています。その1つが「作業手順に関すること」です。第40条は、職長など作業を直接指導・監督する人への教育の事項として「作業手順の定め方」を挙げています(労働安全衛生規則|e-Gov法令検索、安全衛生教育について|厚生労働省)。

同じ規則の中に「作業手順書」という語そのものは出てきません(2026年10月に条文を検索して確かめました)。決まった様式があるわけではないので、フォーマットは自分の職場に合わせて作れます。ただ、手順を教えることが求められている以上、教える中身を紙にしておくと、誰が教えても同じ内容になります。自社の業種や作業にどの決まりが当てはまるかは、条文か、所轄の労働基準監督署で確かめてください。

フォーマットを使う利点と、先に知っておく限界

利点

  • 書き始めるまでが速い:白紙から表を組む時間が要りません
  • 書きもれが減る:道具、安全、連絡先、改訂の記録は、白紙から作ると抜けやすい欄です。欄が先にあれば、空いていることに気づけます
  • 職場の中で形がそろう:どの手順書も同じ場所に同じことが書いてあれば、読む人は探さずに済みます。作る人が替わっても形が崩れません
  • 見た目に悩まない:文字の大きさや線の太さを決める時間を、中身に使えます
  • 費用がかからない:制作を外に頼まず、手元のExcelやWordで作れます

限界

フォーマットが助けてくれるのは「形」です。中身は、実際の作業を見て書くしかありません。

もう1つ、フォーマットの欄は多めに作ってあります。全部を埋めようとすると、書くことがない欄に「特になし」が並び、読む人は大事な所を見つけにくくなります。使わない欄は消します。逆に、自分の職場に必要な欄(ロット番号、設備の番号、対象の品番など)は足します。

欄を足したり消したりするうちに、列の幅がばらばらになり、かえって見づらくなることもあります。見やすさの決まりは見やすい手順書の作り方にまとめたので、手を入れる前に目を通しておくと崩れません。

作業手順書のフォーマットに入れる項目

配っているフォーマットの欄を一覧にします。

部分項目書くこと要るかどうか
頭の欄文書番号・版・作成日・改訂日どの文書の、いつの版か必ず
頭の欄作成者・承認者誰が書き、誰が認めたか必ず
頭の欄作業名動詞で終わる、作業の名前必ず
頭の欄目的この作業で、何がどうなればよいか必ず
頭の欄対象者・前提誰が読むか。先に身につけておくことできれば
頭の欄作業の範囲どこから始まり、どこで終わるか必ず
頭の欄所要時間の目安慣れた人でどのくらいかかるかできれば
頭の欄使う道具・材料作業の前にそろえる物必ず
頭の欄安全・保護具作業の全体に関わる危険と、身を守る物現場の作業は必ず
頭の欄始める前の確認手を付けてよい状態かどうかできれば
手順の表手順何をするか。1行に動作は1つ必ず
手順の表急所・注意どうやるか。失敗しやすい所必ず
手順の表急所の理由なぜそうするのか現場の作業はできれば
手順の表写真・図動作のあとの状態現場の作業はできれば
手順の表基準どうなっていれば合っているか必ず
末尾の欄いつもと違うときの対応異常や不良を見つけたときにすること必ず
末尾の欄連絡先分からないときに聞く先必ず
末尾の欄改訂の記録いつ、何を、なぜ変えたか必ず

「必ず」が12個、「できれば」と条件つきが6個です。A4で1〜2枚に収まる量にしてあります。

項目ごとの書き方

ここからは、欄を1つずつ見ていきます。例は、記入例のシートに入れた「製品Aを箱に詰めて封をする」と「請求書を発行してメールで送る」から取っています。

作業名:動詞で終える

作業名は、読む人がこの手順書を探すときの手がかりです。

  • 直す前:梱包作業
  • 直したあと:製品Aを箱に詰めて封をする

「梱包作業」だと、どの製品の、どこからどこまでなのかが分かりません。対象の物と動作を入れ、動詞で終えます。棚やフォルダに並んだときに、名前だけで中身の見当が付くようになります。

文書番号・版・日付・作成者と承認者

現場に古い版が残っていると、人によって違う紙を見て作業することになります。それを防ぐのがこの欄です。

  • 文書番号:「出荷-003」のように、部署や工程の名前と連番で付けます。番号の付け方を凝る必要はありません。重ならなければ十分です
  • 版と改訂日:直すたびに版を1つ上げ、日付を書き換えます
  • 作成者と承認者:書いた人と、内容を認めた人を分けます。承認者は、その作業の結果に責任を持つ立場の人です

1人で作って1人で使う手順書なら、番号と承認者の欄は消してかまいません。改訂日だけは残します。

目的:この作業で何がどうなればよいか

  • 直す前:製品を梱包する
  • 直したあと:輸送中に箱が開かず、中身が動かない状態で出荷する

直す前は、作業名を言い換えただけです。目的には、作業が終わったときの望ましい状態を書きます。

目的が書いてあると、手順書に書いていないことが起きたときに、読む人が自分で判断できます。いつもと違う形の箱が来ても、「開かない、動かない」が目的だと分かっていれば、緩衝材を多めに入れるという判断ができます。

対象者と前提:誰が読むのか

読む人を1人に決めます。「出荷班に入って1週間以内の人」のように、経験の長さで書くと決めやすくなります。

読む人が決まると、どこまで細かく書くかが決まります。入ったばかりの人が読むなら、テープカッターの使い方から書きます。経験のある人が読むなら、この製品に特有の急所だけで足ります。

先に身につけておくことがあれば、ここに書きます。「テープカッターを使ったことがある人」「請求ソフトにログインできる人」などです。資格や社内の認定が要る作業は、必ず書きます。

作業の範囲と所要時間

範囲は、始まりと終わりを1文ずつ書きます。

  • 始まり:検品が済んだ製品Aが作業台に届いた所から
  • 終わり:封をした箱を出荷棚に置く所まで

範囲が書いていないと、前後の作業とのすき間が生まれます。「検品は誰がやるのか」「出荷棚に置くのは梱包の人か、運ぶ人か」があいまいなまま、誰もやらない作業ができてしまいます。

所要時間は、慣れた人の目安を書きます。「1箱あたり約3分」とあれば、新人は自分が遅いのか、手順が抜けて速すぎるのかに気づけます。

使う道具・材料

作業の途中で物を取りに行かずに済むよう、始める前にそろえる物を全部書きます。

  • 直す前:テープ、箱
  • 直したあと:段ボール箱(Mサイズ)、緩衝材、布テープ(幅50mm)、テープカッター、納品書、送り状

種類や大きさが決まっている物は、そこまで書きます。似た物が何種類もある職場では、置き場所の番号や写真を足します。事務の作業なら、使うソフト、ファイルの置き場所、必要な権限がここに入ります。

始める前の確認:手を付けてよい状態か

作業に入る前に、確かめることを書く欄です。前の作業が終わっているか、材料や書類がそろっているか、設備が動かせる状態かを見ます。

  • 作業台の上に前の製品が残っていない
  • 出荷指示書の品名と数を読んだ
  • 営業から「前月分の売上を確定した」の連絡が来ている

ここを書いておくと、条件がそろわないまま始めて、途中でやり直す失敗が減ります。違う製品が混ざる、確定前の数字で請求書を作る、といった間違いは、手順の途中ではなく入口で起きています。

書き方は、手順の表の基準と同じです。「準備をする」ではなく、「〜になっている」「〜を読んだ」と、確かめ終えた状態で書きます。

手順:1行に動作は1つ

手順の表の中心です。決まりは3つあります。

  • 1行に動作は1つ。「〜して、〜する」になったら2行に分けます
  • 動詞で終える。「貼る」「入れる」「置く」
  • やる順番に並べる。「貼る前に確認する」は、「確認する」「貼る」の2行にします

1つの手順書は、5〜10行が読みやすい長さです。15行を超えるなら、作業を2つに分けられないかを考えます。「箱を組み立てる」と「詰めて封をする」のように、区切りのよい所で分けます。

どこまで細かく分けるかで迷ったら、手が止まる所、物を持ち替える所、目で確かめる所を区切りにします。細かすぎる手順書は読まれません。「右手でテープを持つ」「左手で箱を押さえる」まで書く必要があるのは、その持ち方でなければ失敗する作業だけです。

急所と理由:どうやるか、なぜそうするか

急所は、その動作の成否を分ける所です。次の3つのどれかに当たる所を書きます。

  • そこを外すと、不良や手戻りになる所(成否)
  • そこを外すと、けがをする所(安全)
  • 知っていると、楽に速くできる所(やりやすさ)

製造の現場では、手順と急所を別の列に分け、急所に理由を添える書き方がよく使われます。配っている写真つきの型も、この形にしました。

直す前は1文に手順と急所が混ざっている。直したあとは手順・急所・理由に分かれている

分けて書く理由は、読み方が2通りあるからです。はじめての人は、手順の列を上から読んで順番を覚えます。慣れた人は、急所の列だけを拾って読みます。1文に混ざっていると、どちらの読み方もしにくくなります。

理由は短くて構いません。「重さで底が抜けるのを防ぐ」の1行があるだけで、省略されにくくなります。人は、理由の分からない決まりから守らなくなるからです。

急所の言葉は、数字か見た目で書きます。

直す前直したあと
しっかり折り返す端を側面に5cm以上折り返す
すき間なく詰める箱を軽く振って音がしないまで詰める
丁寧に置く印字面を上にして置く
早めに確認を依頼する2営業日までに確認を依頼する
高額の場合は上長に回す30万円以上は課長にも回す

写真・図:動作のあとの状態を撮る

写真は、その動作が終わったあとの状態を撮ります。作業の途中の手元を撮るより、できあがりの形を見せたほうが、読む人は自分の結果と見比べられます。

  • 1行に写真は1枚
  • 見てほしい所に、矢印か枠を1つだけ付ける
  • 撮る向きと距離を、全部の行でそろえる
  • 良い状態の写真の横に、悪い状態の写真を並べると、基準が伝わる

記入例のシートでは、写真の代わりに「底を貼り終えた箱を横から撮る」のように、何を撮るかを書いてあります。作るときは、先にこの文を全部の行に書いてから、まとめて撮りに行くと、撮り忘れがありません。

基準:どうなっていれば合っているか

基準は、その動作がうまくいったかを、やった本人が確かめるための欄です。

  • 直す前:確認する
  • 直したあと:振っても中身が動かない

「確認する」だけでは、何を見て、どうなっていれば良いのかが分かりません。目で見る、数える、触る、測るのどれかで確かめられる形にします。

品質の規格がある作業は、規格の数字をそのまま書きます。「締め付けの強さ」「温度」「寸法」のように、道具で測る値は、単位と、良いとする幅を書きます。測る道具も「使う道具」の欄に入れます。

安全:その動作の行に書く

安全の注意は、書く場所を2つに分けます。

  • 頭の欄:作業の全体に関わること。着ける保護具、立ち入ってはいけない場所、作業前に止めておく設備
  • 手順の表:その動作に関わること。「刃に指を当てない」は、テープを切る行の急所に書きます

全部を頭の欄にまとめると、読む人は作業の途中でそこまで戻りません。危ない動作の、まさにその行に書きます。色を変えるか、枠で囲んで、ほかの急所と見分けが付くようにします。

書き方は、してはいけないことと、代わりにどうするかを並べます。「重い箱に注意」より、「10kgを超える箱は2人で持つ」のほうが、読んだ人の行動が変わります。なお、記入例に入れた重さなどの数字は、説明のための例です。自分の職場の基準は、社内の安全の決まりに合わせてください。

いつもと違うときの対応と連絡先

手順どおりに進まないときに、何をするかを書く欄です。ここが空いている手順書は多くあります。

書き方は「見つけたこと:すること」の形にします。

  • 製品に傷やへこみがある:詰めずに赤い箱へ入れ、班長に知らせる
  • 数が足りない:封をせず、出荷指示書を持って班長に聞く
  • 金額が売上一覧と合わない:送らずに営業担当へ確認する

最初にすることは、たいてい「止める」「そのままにする」「知らせる」のどれかです。自分で直そうとして事態が大きくなるのを防ぐため、どこまでが自分の判断で、どこからが知らせる所かを書きます。

連絡先は、人の名前だけにしません。「出荷班 班長」「経理課の共有アドレス」のように、役割や共有の窓口で書きます。人の名前だけだと、異動のたびに古くなります。

改訂の記録:何を、なぜ変えたか

改訂の記録は、版・日付・変更した内容と理由・変更した人・承認した人の5つです。

  • 直す前:第2版 一部修正
  • 直したあと:第2版 手順3の基準を「振っても中身が動かない」に変更。緩衝材の量の質問が続いたため

「一部修正」では、読む人はどこが変わったのかを探すことになります。どの手順の、何を変えたかを書きます。理由も書いておくと、あとで「なぜこの決まりになったのか」をたどれます。理由が分からない決まりは、数年後に誰かが善意で元に戻してしまいます。

用途別のフォーマットと記入例

同じ作業手順書でも、用途によって合う型が違います。

製造・現場は写真つきの型、事務は文字だけの型、パソコン作業は画面つきの型、清掃・点検はチェック表の型
用途合う型厚く書く欄省いてよい欄
製造・現場写真つきの型急所と理由、安全、基準—
事務文字だけの型判断の基準、締め切り、いつもと違うとき写真、保護具
パソコン作業画面つきの型画面の言葉、押したあとの結果道具、保護具
清掃・点検チェック表の型できあがりの基準、日付と担当急所の理由

製造・現場の作業:写真つきの型

物を扱う作業は、言葉より見た目のほうが伝わります。手順・急所・理由・写真・基準の5列を横に並べ、A4を横に使います。

写真つきの型の記入例。製品の箱詰めと封かん。手順、急所と理由、写真、基準の列がある
写真つきの型の記入例(図は3行目まで。Excel版には6行すべてが入っています)

記入例「製品Aを箱に詰めて封をする」の手順は、次の6行です。

No手順急所急所の理由基準
1箱の底をH字にテープで貼る端を側面に5cm以上折り返す重さで底が抜けるのを防ぐテープに浮きがない
2製品Aを6個、向きをそろえて入れるラベルを上向きにする検品で数えやすい6個。ラベルが全部見える
3すき間に緩衝材を詰める箱を軽く振って音がしないまで詰める輸送中の傷を防ぐ振っても中身が動かない
4納品書を製品の上に置く印字面を上にする開けた人がすぐ見つけられる宛名が出荷指示書と同じ
5ふたを閉めてH字にテープで貼る中央のテープを先に貼るふたがずれたまま固定されるのを防ぐ合わせ目にすき間がない
6送り状を上面に貼る上面の右寄りに貼る。テープをかけないバーコードが読めなくなるのを防ぐ宛名が納品書と同じ

現場で使う手順書には、紙ならではの注意があります。

  • 文字を大きくする:作業台から少し離れた所に掲示して読むことが多いためです。配っている型は、印刷して手元で読む大きさです。掲示するなら、A3に拡大して印刷します
  • 汚れに備える:油や水がかかる場所では、ラミネートするか、透明の袋に入れます
  • 置く場所を決める:作業する場所から、歩かずに見える所に置きます。事務所の棚にある手順書は、作業中には開かれません

事務の作業:文字だけの型

事務の作業は、写真に撮れる「できあがりの形」がありません。代わりに要るのが、判断の基準です。「日付は納品日で見るのか、受注日で見るのか」「いくら以上なら上長に回すのか」。事務の間違いの多くは、手の動かし方ではなく、この判断の所で起きます。

文字だけの型の記入例。請求書を発行して送る。手順、注意・判断の基準、確かめ方、済の列がある
文字だけの型の記入例(図は7行のうち4行を抜き出して短くしたもの。Excel版には7行すべてが入っています)

記入例「請求書を発行してメールで送る」の手順は、次の7行です。

No手順注意・判断の基準こうなっていれば合っている
1売上一覧で前月分をしぼり込む日付は納品日で見る(受注日ではない)件数が売上台帳と同じ
2取引先ごとに請求書を作る支払期日は翌月末。土日・祝日なら前の営業日合計が売上一覧の金額と同じ
3請求書番号を採番表から取る年月と連番で付ける。番号を飛ばさない採番表に取引先名を書いた
4別の担当に金額と宛名を見てもらう30万円以上は課長にも回す確認者の名前が入っている
5PDFにして共有フォルダに保存するファイル名は「請求書_取引先名_2026年10月」当月のフォルダに社数分ある
6メールで送る宛先は取引先一覧の「請求先」の欄を使う送信済みに残っている
7送付の記録を付ける送った日と送った人を書く一覧の全部の行に日付が入っている

支払期日や金額の線引きは、この記事のために置いた例です。自社の決まりに置き換えてください。

事務の手順書で足しておくとよい欄が3つあります。

  • いつやるか:「毎月1日から3営業日まで」のように、締め切りを頭の欄に書きます
  • 済の欄:月に1回の作業は、どこまでやったかを忘れます。印刷してチェックを付けながら進められるようにします
  • 情報の扱い:保護具の代わりに、個人情報や金額の入ったファイルの扱いを書きます。「PDFを個人のパソコンに残さない」「宛先は手で打たず、一覧から写す」などです

パソコン作業:画面つきの型

システムやWebサービスを操作する作業は、1クリックを1ステップにして、画面の画像と並べる型が合います。

項目は現場の作業より少なくて済みます。道具と保護具の欄は要りません。代わりに、次の4つを1ステップに入れます。

  • 番号
  • 操作の文(「『職員別』をクリック」のように、画面の言葉のまま書く)
  • 押す場所に印を付けた画面
  • 押したあとにどうなるか

この型は、ExcelやWordで作ると手間がかかります。1ステップごとに、画面を撮る、貼る、押す場所を枠で囲む、説明の文を書く、の4つをくり返すからです。10ステップなら40回の手作業になります。

ここは道具に任せられます。ReQuill は、Chromeに追加して使う無料の拡張機能です。記録を始めて、いつも通りに操作して、記録を止めると、画面つきのマニュアルができます。

実際に作ったものを載せます。経営ダッシュボードのサンプル画面(数字と名前は架空)で、「職員別の稼働率を先月分で見て、CSVにする」作業を記録しました。5ステップと、完了の画面ができました。そのうち4ステップと完了の画面を載せます(ステップ4は、職種のしぼり込みで「看護」をクリックする操作です)。画像には手を加えていません。

ステップ1 ダッシュボードを開く。開いた画面の全体が入っている
ステップ1:最初に開く画面
ステップ2「職員別」をクリック。押した場所が拡大され、枠で囲まれている。右に画面全体の小さな図
ステップ2:押した場所の拡大と印。右の小さな図で、画面全体のどこかが分かる
ステップ3「先月」をクリック
ステップ3:説明文は画面の言葉のまま
ステップ5「CSVダウンロード」をクリック
ステップ5:画面の端にあるボタンも、小さな図で場所が分かる
「これで完了です」と、操作を終えたあとの画面
最後に「こうなっていれば合っている」の画面が入る

この記事で説明した項目と照らすと、こうなります。

作業手順書の項目自動で入るもの自分で足すもの
作業名・目的表紙の題名と概要(AIが下書きする)職場の言葉に合わせて直す
手順1クリックが1ステップになる間違えて押した操作のステップを消す
写真・図画面、押した場所の拡大と印、画面全体の小さな図写ってはいけない情報を「隠す」で塗りつぶす
急所と理由入らない「補足を追加」で書く
基準最後の完了の画面数字の決まりを補足に書く
連絡先・改訂の記録入らない補足に書くか、別に持つ

急所と理由は、画面からは読み取れません。「なぜ先月を選ぶのか」「CSVをどこに保存するのか」は、作業を知っている人が補足に書きます。

編集の画面。各ステップに「隠す」、上下の矢印、「削除」、「補足を追加」がある
編集の画面。説明文の修正、ステップの削除と並べ替え、隠す、補足の追加ができる

できたマニュアルはURLで共有でき、受け取った人は登録なしで読めます。PDFにもできます。説明文は日本語・英語・ドイツ語・ポルトガル語に切り替えられます。記録・編集・共有・PDFは無料で、カードの登録は要りません。

記録できるのは、パソコンのChromeで開く画面だけです。 製造や現場の作業、機械の操作、紙の作業、デスクトップのアプリは記録できません。そうした作業は、上で配ったExcelやWordのフォーマットで作ります。1つの仕事の中に両方があるなら、現場の作業はExcelの手順書に書き、システムに入力する所だけをReQuillで作ってURLを手順書に貼る、という分け方ができます。

画面の操作を説明する文書の項目や目次の立て方は、操作マニュアルの作り方に詳しく書いています。

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清掃・点検の作業:チェック表の型

毎日くり返す作業は、手順書と記録を1枚にまとめます。左に手順とできあがりの基準、右に日付ごとのチェック欄を並べる型です。

チェック表の型の記入例。給湯室の終業時の清掃。手順、できあがりの基準と、日付ごとのチェック欄がある
チェック表の型の記入例(図は4行目まで。Excel版には6行すべてが入っています)

記入例「給湯室の終業時の清掃」の手順は、次の6行です。

No手順できあがりの基準
1シンクの中の食器を洗って棚に戻すシンクに物が残っていない
2シンクと蛇口をスポンジで洗う排水口のごみ受けが空になっている
3調理台を台ふきんで拭く水滴と粉が残っていない
4電気ポットの電源を切る表示ランプが消えている
5ごみを袋ごと1階の集積所に出し、新しい袋を掛けるごみ箱に新しい袋が掛かっている
6換気扇と照明を消すスイッチが2つとも切れている

清掃や点検で大事なのは、できあがりの基準です。「きれいにする」は、人によって終わりの線が違います。「水滴が残っていない」「ランプが消えている」のように、見れば分かる状態で書きます。

点検の手順書なら、基準の列を「正常な状態」に替え、チェック欄を「良・否」にします。「否」のときに何をするかは、末尾の「いつもと違うときの対応」に書きます。法令で点検の項目や記録が決まっている設備は、その決まりの項目を先に入れてから、職場の項目を足します。

チェック欄だけの表の作り方や、Excelでチェックボックスを入れる方法は、チェックリストの作り方に任せます。

Excelで作業手順書を作るときの注意

作業手順書をExcelで作る職場は多くあります。表を作りやすく、行を足しやすく、たいていのパソコンに入っているからです。そのぶん、Excelならではのつまずきがあります。

印刷で切れないようにする

Excelは、画面で見えている形のまま印刷されるとは限りません。右端の列だけが2ページ目に出る、というのがいちばん多い失敗です。

メニューの呼び方は、Excelの版によって少し違います。配っているフォーマットには、横幅を1ページに収める設定と、見出しの行のくり返しを入れてあります。列の幅を大きく変えたときは、印刷プレビューで見直してください。

写真がずれないようにする

行を足したり、列の幅を変えたりすると、貼った写真が隣の行にはみ出します。防ぎ方は2つあります。

  • 写真を右クリックして、セルに合わせて動く設定にする。行の高さを変えても、写真が付いてきます
  • 写真をセルの中に入れる。Microsoft 365 と Excel 2024 には、「挿入」タブの「画像」に「セルに配置」があり、写真がセルの中に収まります(Excel でセルに画像を挿入する|Microsoft サポート)

写真は、貼る前に小さくしておきます。スマートフォンで撮った写真をそのまま20枚貼ると、ファイルが重くなり、開くのに時間がかかります。A4の表の1列に入る写真なら、横幅1,000ピクセル前後まで縮めても、印刷して困ることはまずありません。

セルの結合と、方眼紙のような使い方を控える

セルを細かく結合して欄を作ると、見た目は整います。ところが、行を足す、並べ替える、ほかの手順書に写す、のどれもがやりにくくなります。

配っているフォーマットは、手順の表の中ではセルを結合していません。行を足すときは、表の途中の行を選んで「挿入」するだけで、線と書式が引き継がれます。結合を使っているのは、頭の欄と末尾の欄の、横に長い欄だけです。

列の幅を全部同じ細さにして、方眼紙のように使う作り方も避けます。作った本人しか直せない手順書になるからです。

1つの作業を1枚のシートにする

1つのシートに、いくつもの作業を縦に並べると、目的の作業を探すのに時間がかかります。1つの作業は1枚のシートにして、シートの名前を作業名にします。

シートが増えてきたら、先頭に目次のシートを作り、作業名からそのシートに飛べるリンクを付けます。10枚を超えたら、工程や部署ごとにファイルを分けます。

配るときはPDFにする

Excelのまま配ると、読む人が気づかずに書き換えてしまうことがあります。パソコンによって文字の幅が変わり、印刷がずれることもあります。配るのはPDF、直すのはExcel、と分けます。元のExcelは、直す担当だけが触れる場所に置きます。

型として何度も使うなら、「名前を付けて保存」でファイルの種類を「Excel テンプレート」にしておく方法もあります。開くたびに新しいファイルとして始まるので、元の型を上書きしてしまう事故がなくなります(ブックをテンプレートとして保存する|Microsoft サポート)。

Wordで作るときの注意

Word版を使う場合は、表のまわりで3つ気をつけます。

  • 見出しの行をページごとにくり返す:手順の表が2ページ目に続くときは、見出しの行を選び、表の「レイアウト」タブで「タイトル行の繰り返し」を入れます。配っているWord版には入れてあります(後続のページで表の見出しを繰り返す|Microsoft サポート)
  • 写真は表のセルの中に、文字と同じ扱いで入れる:文字の折り返しを「行内」にしておくと、行を足しても写真がほかの行へ動きません
  • 列の幅を固定する:文の長さに合わせて列の幅が勝手に変わると、ページごとに表の形が違って見えます。配っているWord版は、列の幅を固定してあります

Wordは、手順の前後に長い説明を書きたいときに向いています。作業の背景や、過去に起きた不良の説明を文章で残すなら、Excelのセルに詰め込むより読みやすくなります。

Excel・Word・ほかの道具の選び方

道具向いている手順書気をつける所
Excel表の形の手順書。行を足す・並べ替えることが多い。チェック欄を持つ印刷で切れやすい。写真が多いと重くなる
Word文章の説明が多い手順書。何ページにもわたる文書表の中の写真は位置を合わせにくい
PowerPoint1枚に1つの手順を大きく見せる。掲示用手順が増えると、目的の所を探しにくい
Googleスプレッドシート・ドキュメント何人かで同時に直す。URLで配る細かい印刷の調整は苦手
手順書・マニュアルの専用ツール写真や画面を多く使う。数が多く、よく変わる入れる手間がある。費用がかかるものもある

迷ったら、表の形ならExcel、文章が多いならWordで始めれば十分です。型の選び方をWord・Excel・PowerPointで比べた話は、マニュアル作成のテンプレートにまとめています。

あわせて読みたい マニュアル作成テンプレート|Word・Excel・PowerPointの無料の型と記入例 マニュアル作成に使えるテンプレートを、Word・Excel・PowerPointの3つの形式で無料で配布します。表紙・目次・業務の概要・手順…

テンプレートを配っているサイトもたくさんあります。Officeの「新規」の画面で探せるものや、書式の配布サイトのものです。選ぶときは、デザインより欄を見ます。急所や基準の欄があるか、改訂の記録があるか、A4の1ページの幅に収まるか。この3つがそろっていれば、あとは自分の職場に合わせて直せます。

フォーマットを使った作業手順書の作り方

作り方の全体は手順書の作り方で詳しく扱っています。ここでは、フォーマットを使うときの流れに絞ります。

フォーマットを使って作業手順書を作る7つの手順。決める、選ぶ、見る、埋める、削る、試す、直す

1. 作業を1つ、読む人を1人に決める

「出荷の手順書」では広すぎます。「製品Aを箱に詰めて封をする」まで絞ります。あわせて、読む人を1人に決め、頭の欄の「対象者」に書きます。

最初の1本は、間違いが起きている作業か、たまにしかやらない作業から選ぶと、作った効果がすぐ見えます。

2. 型と、作る道具を選ぶ

前の章の表で、用途に合う型を選びます。職場にすでに決まったフォーマットがあるなら、それを使います。形がそろっていることのほうが、欄の出来より大事だからです。

3. 実際の作業を見て、書き出す

フォーマットを開く前に、作業を見に行きます。いちばん上手な人にやってもらい、横でメモを取ります。本人に許可をもらって、動画に撮っておくと、あとで見返せます。

メモするのは3つです。

  • やった動作を、順番に
  • 手が遅くなった所、目で確かめていた所
  • 「ここは気をつけている」と本人が言った所

2つ目と3つ目が、急所の候補です。上手な人ほど、急所を無意識にやっています。「なぜ今、箱を振ったんですか」と聞いて、はじめて言葉になります。

上手な人が何人かいて、やり方が違うこともあります。そのときは、どれを標準にするかを先に決めます。決めずに書くと、全部を「または」で並べた手順書になります。

4. 欄を埋める

手順の列から先に埋めます。上から下まで手順を書き終えてから、急所、理由、基準の順に横へ進みます。1行ずつ全部の列を埋めていくより、順番の抜けに気づきやすくなります。

頭の欄と末尾の欄は、最後に書きます。道具は、手順を書き終えてからでないと全部は出そろいません。

5. 使わない欄を削り、要る欄を足す

埋まらなかった欄を見直します。書くことがないなら、行ごと消します。逆に、メモにあるのに書く欄がなかったことは、欄を足します。

職場でフォーマットを決めるなら、ここで足し引きした結果を「うちの型」として保存します。2本目からは、その型で始めます。

6. 別の人に、手順書だけでやってもらう

その作業をやったことがない人に、手順書だけを渡してやってもらいます。横で見て、口は出しません。

  • 手が止まった所
  • 手順書と手元を何度も見比べた所
  • 手順書と違うやり方をした所

この3つが、直す所です。現場の班長や、その作業を長くやっている人にも読んでもらい、「今はこうやっていない」という所を教えてもらいます。

7. 置く場所を決めて、更新を続ける

できたら、承認をもらって配ります。決めておくのは3つです。

  • 置く場所:作業する場所から見える所。データなら、置き場所を1つにして古い版を消す
  • 直す人:気づいた人が誰に伝えれば直るのか
  • 見直す時期:設備や材料、システムが変わったとき。加えて、年に1回など日を決めて読み直す

直すきっかけは、現場からの声です。手順書の余白に、気づいたことを書き込める欄を作っておく。紙の手順書なら、赤ペンで書き込んでもらい、月に1回集めて反映する。こうした通り道がないと、現場は手順書と違うやり方を黙って続けます。

読まれる作業手順書にする書き方のコツ

書き方の全体は見やすい手順書の作り方に任せて、ここではフォーマットの欄を埋めるときに効くものだけを挙げます。

  • 1つの欄に、文は1つか2つ:欄からはみ出すなら、行を分けるか、書きすぎています
  • 誰が・いつ・どこで・何を・どうする、を欠かさない:1人でやる作業なら「誰が」は頭の欄の1回で足ります。2人でやる作業や、途中で別の人に渡す作業は、行ごとに「誰が」を書きます
  • 職場の言葉と、正式な名前をそろえる:現場で「赤箱」と呼んでいる物を「不適合品置き場」と書くと、新人は見つけられません。通じる呼び名で書き、最初に出てきた所で正式な名前をかっこで足します
  • あいまいな言葉を数字にする:「適量」「しばらく」「こまめに」は、量、秒、回数で書きます
  • 写真は、良い例と悪い例を並べる:基準が言葉にしにくい作業ほど効きます
  • 否定の文だけで終えない:「斜めに貼らない」より「箱のふちと平行に貼る」。してほしい動作を書きます

AIで下書きを作るときの使い方

生成AIに、手順書の下書きを作らせることもできます。向いているのは、メモを表の形に整える所です。

  1. 作業を見て取ったメモか、作業しながら話してもらった内容の文字起こしを用意する
  2. フォーマットの列の名前(手順、急所、理由、基準)を伝えて、表にまとめるよう頼む
  3. 出てきた表を、作業を知っている人が1行ずつ確かめる

頼むときは、型と決まりを一緒に渡します。たとえば、次のように書きます。

次のメモを、作業手順書の表にしてください。列は「No/手順/急所/急所の理由/基準」です。1行に動作は1つ、手順は動詞で終えてください。メモに書いていないことは足さず、分からない欄は「要確認」としてください。

最後の1文が大事です。AIは、それらしい急所や数字を自分で補ってしまうことがあります。急所、数字、安全の注意は、必ず作業を知っている人が現場のやり方と照らして確かめます。社外に出せない情報をAIに入力してよいかは、会社の決まりに従ってください。

作業手順書のよくある失敗

机の上で書いている

作業を見ずに、記憶で書いた手順書です。手順が抜け、急所が入りません。書く前に、必ず1回は作業を見ます。

フォーマットの欄を全部埋めている

「特になし」「同上」が並んだ手順書は、大事な行が埋もれます。使わない欄は消します。

急所が「注意する」「確認する」で終わっている

何に注意し、何を確認するのかが書いていません。数字か見た目に直します。「テープに注意する」は「テープの端を5cm以上折り返す」です。

1行に動作がいくつも入っている

「製品を入れ、緩衝材を詰めて、納品書を置く」は3行です。1行にまとめると、途中の動作が飛ばされます。

安全の注意が最後にまとめてある

読む人がそこに着く前に、作業は終わっています。危ない動作の行に書きます。

作ったあと、誰も直していない

設備や材料が変わったのに、手順書は元のままです。現場は手順書を信用しなくなり、見なくなります。改訂日が何年も前のままなら、まず今のやり方と合っているかを見直します。

現場のやり方と違う

作った人が「こうあるべき」と思う手順を書き、実際にはその通りにやれない、という場合です。道具が足りない、時間が足りない、置き場所が遠い。手順書を守れない理由が現場にあるなら、手順書か現場のどちらかを直します。そのままにすると、手順書は飾りになります。

どこにあるか分からない

共有フォルダの奥や、事務所の棚にしまってあります。作業する場所から見える所に出します。

欄は埋まっているのに、読んでも作業できない

フォーマットの欄がすべて埋まっていても、使えない手順書があります。同じ行を、直す前と直したあとで並べます。

欄直す前直したあと
手順梱包を行う製品Aを6個、向きをそろえて入れる
急所向きに注意ラベルを上向きにする
理由品質確保のため検品で数えやすい
基準問題がないこと6個。ラベルが全部見える
いつもと違うとき上長に報告数が足りない:封をせず、出荷指示書を持って班長に聞く

直す前の文は、どの作業の手順書に貼っても通ってしまいます。ほかの作業に貼っても意味が通る文は、何も伝えていません。その作業でしか書けない物の名前、数、状態が入っているかを見直します。

どこまで作り込むか

全部の作業に、同じ厚さの手順書を作る必要はありません。

作業の種類作り方
毎日やる、単純な作業手順と基準だけの短い表か、チェック表。写真は最小限
人がよく入れ替わる作業写真つきで細かく。対象者を「はじめての人」にして書く
月に1回、年に1回の作業いちばん丁寧に。やった本人も次には忘れているため
間違えると影響が大きい作業急所と理由、いつもと違うときの対応を厚く。別の人の確認を手順に入れる
めったになく、毎回やり方が違う作業手順書にせず、判断の基準と相談先だけを書く

数が多くて手が回らないときは、上の表の3行目と4行目から作ります。毎日やる作業は、手順書がなくても体が覚えています。

配る前のチェックリスト

  • 作業名が、動詞で終わっている
  • 目的に、作業が終わったときの望ましい状態が書いてある
  • 作業の始まりと終わりが書いてある
  • 使う道具が、種類や大きさまで書いてある
  • 1行に動作は1つになっている
  • 急所と基準が、数字か見た目で書いてある
  • 危ない動作の行に、安全の注意が書いてある
  • いつもと違うときに、最初に何をするかが書いてある
  • 連絡先が、役割や共有の窓口で書いてある
  • 版と改訂日が入っていて、改訂の記録に変えた内容と理由がある
  • 使わない欄を消してある
  • 印刷して、右端の列が切れていない
  • やったことがない人が、手順書だけを見て最後までできた

よくある質問

作業手順書の書き方の例は?

この記事の「用途別のフォーマットと記入例」に、製造(箱詰めと封かん)、事務(請求書の発行)、パソコン作業(ダッシュボードからCSVを出す)、清掃(給湯室)の4つを載せています。配っているExcelのファイルにも、同じ記入例がシートとして入っています。自分の作業に近いものを選び、文を置き換える所から始めるのが速い方法です。

作業手順書のフォーマットは無料で作れますか

作れます。この記事のExcel版とWord版は無料で、登録も要りません。ExcelやWordが手元になければ、Googleスプレッドシートで開いて使うこともできます。自分で1から作る場合は、「フォーマットに入れる項目」の表の欄を上から並べれば形になります。

Excelで手順書は作れますか

作れます。表の形の手順書には、Excelがいちばん合っています。気をつけるのは印刷です。横幅を1ページに収める設定と、見出しの行のくり返しを入れておきます。写真を多く使うなら、貼る前に小さくして、ファイルが重くなるのを防ぎます。

マニュアル作りが上手い人の特徴は?

作業を見てから書いています。そして、書いたものを別の人に試してもらっています。文章の上手さより、この2つをやっているかどうかの差が大きく出ます。もう1つ挙げると、書きすぎません。読む人を1人に決めているので、何を省いてよいかが分かっています。

作業手順書とマニュアルは何が違いますか

扱う範囲が違います。マニュアルは仕事の全体を扱い、目的や判断の基準、担当まで書きます。作業手順書は、その中の1つの作業を取り出して、順番と急所を書きます。出荷の仕事の全体を説明するのがマニュアル、「箱に詰めて封をする」の1枚が作業手順書です。

作業手順書には何を書けばよいですか

最低限は、作業名、目的、使う道具、手順、急所、基準、いつもと違うときの対応、連絡先、改訂日です。現場の作業なら、安全と保護具を足します。迷ったら、配っているフォーマットの欄を上から埋め、書くことがない欄を消します。

1つの手順書に、どこまでの作業を入れますか

1人が続けて行い、途中で区切らないひとまとまりを1本にします。目安は5〜10行です。15行を超えるなら、物を持ち替える所や、場所を移る所で2本に分けます。

作業手順書はどのくらいの頻度で見直しますか

設備、材料、システム、決まりが変わったら、そのときに直します。変化がなくても、年に1回など日を決めて、今のやり方と合っているかを読み直します。不良や事故が起きたときも、見直すきっかけです。

作っても現場で使われません。どうすればよいですか

理由を3つ確かめます。作業する場所から見える所にあるか。今のやり方と合っているか。長すぎないか。そのうえで、新人に教えるときに必ずその手順書を使う、と決めます。教える場面で使われる手順書は、教える人が間違いに気づくので、直され続けます。

写真と動画は、どちらがよいですか

できあがりの形を見せるなら写真、手の動かし方や速さを見せるなら動画が向いています。作業の途中で見るのは、止めずに読める写真と文のほうが使いやすくなります。動きが大事な所だけ、動画を添えます。

作る時間を短くする方法はありますか

3つあります。フォーマットを先に決めて、形に悩む時間をなくす。作業を動画に撮り、見返しながら書く。パソコンの画面を操作する作業は、操作を記録して自動で組み立てる道具に任せる。ReQuillは、Chromeで開く画面の操作ならこの3つ目に使えます。製造や現場の作業は記録できないので、そちらはフォーマットで作ります。

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