マニュアルの作り方
新人教育マニュアルの作り方|5つのステップと見本、入社前から3か月までの組み立て方【テンプレートの型つき】
榎本 諒 ・ 更新 2026-10-20 ・ 約25分で読めます
新しい人が入ってくる。「教えるのは頼んだ」と言われたものの、何から話せばいいのか。前回の新人には口で説明して、3か月かかった。今回も同じことを繰り返したくない。新人教育マニュアルを作ろうと思うのは、たいていこういうときです。
ところが、作り始めると手が止まります。会社の理念から書くのか。電話の取り方まで書くのか。仕事の手順はどこまで細かくするのか。決まっていないことが多すぎるからです。
この記事では、新人教育マニュアルの作り方を5つのステップで説明します。目次と1ページの見本、入社前から3か月までの時期ごとの組み立て方、OJTとの分担、作ったあとの更新の回し方まで載せました。例に出てくる会社や名前は、すべて説明のために作った架空のものです。
新人教育マニュアルとは
新人教育マニュアルは、新しく入った人が、一人前に仕事ができるようになるまでの道筋を書いた資料です。業務マニュアルが「仕事のやり方」を書くのに対して、新人教育マニュアルは「入ったばかりの人に、何を、どの順番で、どこまで教えるか」を書きます。
中身は、業務の手順だけではありません。会社のこと、社会人としての基本、社内のルール、使うツールの操作、そして仕事の進め方までを一続きにまとめます。

業務マニュアル・研修資料・OJTとの違い
似たものがいくつかあります。違いは、誰のために、何を目的に作るかです。
| 読む人 | 目的 | 範囲 | |
|---|---|---|---|
| 新人教育マニュアル | 入ったばかりの人 | 一人前になるまでの道筋を示す | 会社・基本・ルール・ツール・仕事 |
| 業務マニュアル | その業務をやる人すべて | 仕事を誰がやっても同じにする | 1つの業務の全体 |
| 研修資料 | 研修の受講者 | 研修の場で説明する | 研修で扱うテーマ |
| OJT | 新人と先輩 | 現場で一緒にやって身につける | 実際の仕事 |
新人教育マニュアルの中に、業務マニュアルの要点や、研修で使う資料へのリンクが入ります。すでに業務マニュアルがあるなら、全部を書き写す必要はありません。「新人はこの順に読む」という地図を作り、中身はそれぞれのマニュアルにつなげます。業務マニュアルの作り方は業務マニュアルの作り方に、1つの作業の書き方は手順書の作り方にまとめています。
雇い入れたときの教育は決まりでもある
新人への教育は、善意の話だけではありません。労働安全衛生法の第59条は、事業者は労働者を雇い入れたとき、その仕事に関する安全や衛生のための教育を行わなければならないと定めています(出典:労働安全衛生法 | e-Gov法令検索)。教える内容が毎回ばらつくと、この教育の抜けにもつながります。新人教育マニュアルに「安全・衛生」の項目を入れておけば、誰が教えても同じ内容を伝えられます。
新人教育マニュアルがないと起きること
マニュアルがないまま新人を迎えると、次のようなことが起きがちです。
- 教える人によって内容が違う。Aさんには教えたことが、Bさんの新人には伝わっていない
- 同じ質問に何度も答える。ツールのログイン方法、備品の場所、連絡の仕方。1人ずつ、毎回説明する
- 教える人の仕事が止まる。新人の質問に答えるたびに、自分の作業が中断する
- 新人が聞きづらくなる。忙しそうな先輩に、何度も同じことは聞けない。分からないまま進めてしまう
- 何ができるようになったのか、誰も把握していない。1か月たっても、どこまで任せてよいのかが分からない
最後の点は見落とされがちです。新人教育は、教えること以上に「どこまでできるようになったか」を確かめることが大切です。マニュアルとチェックシートがあれば、本人も先輩も、現在地が分かります。
作るメリットと、先に知っておきたい注意
新人教育マニュアルを作る利点は、次の4つです。
- 教える内容が揃う。誰が担当しても、同じ水準の教育ができます
- 教える側の負担が減る。説明の多くをマニュアルに任せ、先輩は「やって見せる」「確かめる」に時間を使えます
- 新人が自分で調べられる。分からないことを、先輩に聞く前に読んで確かめられます。何度でも見返せます
- 早く戦力になる。迷う時間が減り、基本の仕事を任せられるまでの期間が短くなります
一方で、次の3つには注意が要ります。
- 作るのに時間がかかる。通常の仕事をしながら書くので、後回しになります。対策は、最初から完成を目指さないことです。入社初日と最初の1週間の分だけを先に作ります
- 書いていないことは教えない人が出る。マニュアルに頼りすぎると、現場で教えるべき「勘どころ」が抜けます。マニュアルでは基準と手順を書き、勘どころはOJTで伝える、と分担します
- すぐ古くなる。ツールも担当者も変わります。直す人と直す時期を決めておかないと、新人が古い画面を見て戸惑います
新人教育マニュアルに入れる5つの内容
新人教育マニュアルに入れる内容は、次の5つに分けると抜けが減ります。
| 内容 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| ① ビジネスマナー | 社会人としての基本 | 挨拶、電話の取り方、メールの書き方、来客対応、報連相 |
| ② 会社の理念・組織 | 何のための会社か、誰が何をしているか | 理念、組織図、各部署の役割、1日の流れ |
| ③ 社内ルール | 守る決まり | 勤務時間、休暇の取り方、経費の精算、情報の扱い、安全・衛生 |
| ④ ツールの使い方 | 毎日使う道具の操作 | 勤怠、チャット、メール、共有フォルダ、業務システム |
| ⑤ 仕事の進め方 | 基本の業務の手順と判断の基準 | 担当業務ごとの目的・手順・困ったときの連絡先 |
上位の記事の多くは、この5つ(または近い4つ)を挙げています。ビジネスマナーや理念は、市販の研修資料や就業規則がすでにあることが多いので、新しく書かずにリンクで済ませる手もあります。会社ごとに違う③④⑤に時間をかけるのが、作る手間を減らすコツです。
新人が詰まるのは「手順の外」にあること
先輩にとって当たり前で、新人には見えないことがあります。

| 詰まる所 | 例 | 書き方 |
|---|---|---|
| 用語 | 「いつものフォルダに置いておいて」 | 略語・呼び方の一覧表を作る |
| 前提 | 誰に聞けばよいのか分からない | 連絡先の一覧に「何のとき誰に」を添える |
| 暗黙の決まり | 朝いちばんにチャットで挨拶する | 書いて、理由も添える |
| なんとなくの判断 | 「大丈夫そうなら進めていい」 | 「どうなっていたら大丈夫か」を数字や状態で書く |
手順だけを書いても、新人は動けません。この4つを先に洗い出すと、マニュアルの穴がかなり塞がります。
新人教育マニュアルの見本
ここからは、そのまま写せる見本を載せます。
目次の見本

目次の順番は、新人が初日から使う順にします。会社のことを先に全部読ませるのではなく、「はじめに」で1か月のゴールと連絡先を示し、必要になった章から開けるようにします。
| 章 | 載せること | 入社して使う時期 |
|---|---|---|
| 0 はじめに | マニュアルの使い方、1か月のゴール、困ったときの連絡先 | 初日 |
| 1 会社のこと | 理念、組織図、1日の流れ、勤務のルール | 初日〜1週間 |
| 2 社会人の基本 | 挨拶、電話、メール、来客、報連相 | 1週間 |
| 3 ツールの使い方 | 勤怠、チャット、台帳、メール(画面つき) | 初日〜1週間 |
| 4 仕事の進め方 | 基本の業務ごとの目的・手順・判断の基準 | 1週間〜 |
| 5 チェックシート・よくある質問 | できたら印を付ける表、新人から出た質問と答え | 全期間 |
1項目1ページの型
業務やルールの項目は、同じ型で書くと、新人が読み慣れてきます。

この型を、事務の仕事の「経費精算の申請」に当てはめた見本です。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 何のためにやるか | 立て替えたお金を、月末までに戻すため。遅れると、翌月の給与と一緒に戻るまで待つことになる |
| いつ・どれくらい | 買い物のあと1週間以内。1件5分ほど |
| 手順 | 1. 領収書を写真に撮る。2. 経費精算のページを開く。3. 日付・金額・用途を入れる。4. 領収書を添付して「申請」を押す |
| 判断の基準 | 用途が迷うときは「仕事に使ったと説明できるか」で決める。5,000円を超えるときは、先に上長に伝える |
| 困ったら | 総務の担当(内線○○)、またはチャットの総務窓口 |
4つ目の「判断の基準」が、新人が自分で動けるかどうかを分けます。手順を書いたあとに「迷ったら、どちらにするか」まで書いておくと、聞きに来る回数が減ります。
ビジネスマナーの項目の見本(電話の取り方)
| 場面 | 言うこと・すること | 理由・補足 |
|---|---|---|
| 受けたとき | 「お電話ありがとうございます、○○社です」。3コール以内に出る | 3コールを超えたときは「お待たせしました」を添える |
| 相手の名前を聞く | 「失礼ですが、お名前をお伺いできますか」 | 名前と会社名を復唱して確かめる |
| 担当者がいないとき | 戻る時刻と、折り返すかどうかを聞く | 「席を外しております」とだけ言って切らない |
| 伝言を受けたとき | 相手の名前・用件・連絡先・時刻をメモに書き、担当者に渡す | メモは付箋ではなく、決めた用紙かチャットに残す |
| 切るとき | 相手が切ったのを確かめてから、静かに置く |
ビジネスマナーは、「正しい言い方」だけを並べると丸暗記になります。会社でそうしている理由を1行添えると、場面が変わっても応用できます。
初日から1か月までの確認表の見本
チェックシートは、マニュアルとは別の1枚にまとめます。新人は印を付け、先輩は日付と一言を書きます。
| 時期 | できるようになること | 本人が確認 | 先輩が確認(日付) |
|---|---|---|---|
| 初日 | 席・備品の場所が分かる。勤怠を打刻できる | □ | |
| 初日 | チャットとメールにログインできる | □ | |
| 1週間 | 電話を受けて、担当者に取り次げる | □ | |
| 1週間 | 経費精算を1件、1人で申請できる | □ | |
| 2週間 | 基本の業務Aを、先輩の確認つきでやれる | □ | |
| 1か月 | 基本の業務Aを1人でやり、終わったら報告できる | □ |
「できる」を、見て分かる行動で書くのが大切です。「理解する」「身につける」は、できたかどうかを確かめられません。「1人で申請できる」「報告できる」と書けば、先輩も印を付けられます。
新人教育マニュアルの作り方:5つのステップ

ステップ1:ゴールを決める
最初に決めるのは、いつまでに、何ができるようになってほしいかです。「業務を覚える」ではなく、「3か月後に、基本の業務Aと業務Bを1人で回せる」のように書きます。
ゴールが決まっていないと、マニュアルに載せる量が際限なく増えます。逆に、ゴールが具体的なら、「それに要らないこと」を削れます。
次の3つに答えられれば足ります。
- 新人は、どんな仕事をする人か(職種・担当)
- 1か月後、3か月後に何ができていてほしいか
- 新人の経験は、どれくらいか(新卒、経験者、パートなど)
経験者と新卒では、必要な説明が違います。経験者に電話の取り方を長く書く必要はなく、新卒にはそこが要ります。全員に同じ量を渡さず、職種や経験で読む章を変えられるようにしておくと、1冊を使い回せます。
ステップ2:新人が知らないことを洗い出す
次に、新人が知らないことを書き出します。ここで、先輩の頭の中にあることを外に出します。
- 先輩に「入社して最初の1か月に、何を聞かれたか」を聞く
- 最近入った人に「分からなくて困ったこと」を聞く
- 自分の1日の仕事を、朝から順に書き出す
3つ目は、自分が当たり前にやっていることを見つけるのに向いています。付箋に1つずつ書いて、5つの内容(マナー・理念・ルール・ツール・仕事)に振り分けます。
付箋が20枚も出れば十分です。100枚を目指すと、洗い出しだけで終わります。
ステップ3:時期ごとに並べる
洗い出したものを、教える順番に並べます。内容の種類ではなく、新人がいつ必要とするかで並べるのがコツです。

| 時期 | 新人に必要なこと | マニュアルの中身 |
|---|---|---|
| 入社前 | 持ち物、集合の時間と場所、服装 | 案内の1枚。マニュアルの本体は送らない |
| 初日 | 席、備品、勤怠、チャットのログイン、挨拶 | 「はじめに」と、ツールの最初の部分 |
| 1週間 | 社内のルール、電話・メール、経費、見学 | 会社のこと、社会人の基本、ルール |
| 1か月 | 基本の業務を先輩と一緒にやる | 仕事の進め方の1〜2項目 |
| 3か月 | 1人で回せる業務を増やす | 仕事の進め方の残り、判断の基準 |
入社前に分厚いマニュアルを送ると、読まれないうえに不安にさせます。入社前は1枚、初日は「今日やること」だけ、というように、その時期に要る分だけ渡すほうが、新人は負担に感じません。
ステップ4:書く
型に沿って、1項目ずつ書きます。型は先ほどの「1項目1ページ」を使うと、書く側も迷いません。
書くときの決まりを、先に決めておきます。
- 主語と動作を1つにする。「確認して、入力して、送る」は3つに分ける
- 専門用語・社内用語を使わない。使うなら、最初に説明する。用語集を巻末に付ける
- 「目的」と「判断の基準」を書く。手順だけだと、少し違う場面で止まる
- 画面や現物は、写真や画像で見せる。文字だけで操作を説明すると長くなり、伝わりにくい
画面の操作の部分は、文章で書くのがいちばん手間がかかります。この部分の作り方は、次の「ツールの使い方は、操作を記録して作る」で説明します。
ステップ5:新人に使ってもらい、直す
できたら、入ったばかりの人、または入社1年目の人に、マニュアルだけを見て実際にやってもらいます。先輩は横で見ているだけで、口を出しません。
止まった所、聞かれた所、読み返した所に印を付けます。そこがマニュアルの欠点です。先輩が自分で読んで直すより、新人が使って見つかる穴のほうが、はるかに多く、確かです。
直したら、本番の新人にも「分かりにくい所があれば、書いておいてください」と伝えます。新人からのフィードバックは、次の新人のための材料になります。
新人教育マニュアルの作り方のコツ
ここまでの作り方に加えて、気をつける点を7つにまとめます。
- 専門用語を使わない。使うなら、初めて出る所で説明します。「いつものフォルダ」のような言い方もやめ、場所を書きます
- 全体の流れが分かる構成にする。最初に「1か月でこうなる」の地図を見せます。部分だけ読んで、全体が分からない状態を避けます
- 入社前、初日、1週間、1か月に分ける。時期を分けると、新人は今日読むべき所だけを開けます
- 手順だけでなく、目的と判断の基準を書く。「なぜやるのか」があれば、手順に載っていない場面でも考えられます
- 新人に読んでもらってから配る。経験の長い人が読んで分かることと、新人が読んで分かることは、別物です
- 置き場所を1つに決める。「どれが最新か分からない」を避けます。印刷した紙も、更新したら差し替えます
- 問い合わせ先を書く。「分からなければ聞いてください」ではなく、「業務のことは○○さん、ツールのことは△△さん」と書きます。聞いてよい人が書いてあると、新人は聞きやすくなります
文章の直し方や見本は、マニュアル作成のコツで詳しく扱っています。見た目を整えたいときは、見やすいマニュアルの作り方が参考になります。
業種別の例:何を、どれくらい書くか
同じ新人教育マニュアルでも、職種によって比重が変わります。
| 職種 | 厚く書くところ | 薄くてよいところ |
|---|---|---|
| 事務 | ツール(システム、メール、共有フォルダ)、締め切り、判断の基準 | 接客のマナー |
| 営業 | 電話・メール・名刺交換、顧客の管理ツール、商談の流れ | 事務の細かな手続き |
| 店舗・接客 | 挨拶、接客の基本、レジや機械の操作、クレームの初動 | 社内システムの深い操作 |
| 介護・看護などの現場 | 安全・衛生、利用者への接し方、記録の書き方、緊急時の連絡 | 営業・事務の手続き |
| 製造・現場作業 | 安全、機械の操作、品質の確認、5S | 事務のツール |
業種を問わず共通なのは、最初の1週間のルールとツールと、困ったときの連絡先です。これは共通の章として1冊にまとめ、職種ごとの「仕事の進め方」の章だけを差し替える作りにすると、保守が楽です。現場作業の手順書は作業手順書のフォーマットで型を配っています。
新人教育マニュアルとOJTの分担
新人教育は、マニュアルだけでも、OJTだけでも回りません。

| マニュアル | OJT | |
|---|---|---|
| 得意なこと | 基準・手順・知識を何度でも見返せる | その場の判断、勘どころ、人との関わり |
| 苦手なこと | 例外や、人の反応への対応 | 教える人によって内容がぶれる |
| 向いている内容 | ルール、ツールの操作、基本の手順 | 判断を伴う仕事、接客、トラブル対応 |
| 時間の使い方 | 新人が自分のペースで読む | 先輩が時間を取って一緒にやる |
分け方の目安は、「文字や画面で伝えられること」はマニュアルに、「やって見せないと伝わらないこと」はOJTにです。マニュアルで基本を渡しておくと、OJTの時間は「判断」と「勘どころ」に使えます。逆に、基本の説明までOJTで行うと、先輩の時間が足りなくなります。
OJTの前に、先輩が新人に「今日やること」を1枚で示すと、やることの抜けが減ります。引き継ぎのときも同じ考え方ができます。詳しくは引き継ぎ資料の作り方にあります。
ツールの使い方は、操作を記録して作る
新人教育マニュアルの中で、いちばん手間がかかるのが、ツールの使い方の章です。画面を撮り、貼り、押す場所に印を付け、説明を書く。これをステップの数だけ繰り返します。しかも、ツールは更新されて画面が変わります。
ブラウザで開くツールなら、この部分は道具に任せられます。ReQuill は、Chromeに追加して使う無料の拡張機能です。記録を始める、いつも通りに操作する、記録を止める。これで、スクリーンショットと説明文の入ったマニュアルができます。
実例:新人に教える「台帳の見出しを固定して、絞り込めるようにする」
新人がいちばん最初に触る道具の1つが、スプレッドシートです。「台帳の先頭の行を固定して、フィルタを作る」という操作を例にします。スプレッドシートのサンプル(名前も数字も架空のデータ)で、この操作を記録しました。
やった操作は、「表示」を開く、「固定」から「1行」を選ぶ、「データ」を開く、「フィルタを作成」を押す、の4つです。記録を止めると、次のステップができました。画像には手を加えていません。





各ステップには、スクリーンショット、押した場所の拡大と印、説明文、画面全体のどこなのかを示す小さな図が入ります。表紙の題名と概要はAIが下書きします。
新人教育マニュアルの「ツールの使い方」の章は、こうしたステップの集まりです。勤怠の打刻、チャットのログイン、共有フォルダの開き方。1つずつ記録すれば、画面つきの章が、書く手間なしで作れます。画面が変わったときも、もう一度記録するだけで済みます。
新人教育マニュアルとして足す所
できたものは「どこを押すか」の説明です。新人教育マニュアルにするには、人が足す所があります。
- 何のために固定するのか。「スクロールしても、見出しが見えるようにするため」と、理由を1行書きます。編集の画面の「補足を追加」で、そのステップに書き足せます
- いつ使うのか。「新しい台帳をもらったら、最初にやる」のように、使う場面を書きます
- うまくいかなかったとき。「1行目が固定されていなければ、もう一度『表示』から」と、つまずきやすい点を足します
- 写ってはいけないものが写っていないか。本物のデータで記録したときは、「隠す」で範囲を選んで塗りつぶします。架空のデータで記録できるなら、そのほうが楽です
編集では、説明文の修正、ステップの削除と並べ替えもできます。できたマニュアルはURLで共有でき、受け取った新人は登録なしで読めます。PDFにもできるので、新人教育マニュアルの本体からURLでリンクする方法と、PDFを本体と同じフォルダに置く方法のどちらもできます。
記録できるのは、パソコンのChromeで開く画面だけです。デスクトップのアプリ、機械、紙の作業は記録できません。その部分は、写真と文で書きます。ツールの操作を扱うマニュアルの作り方は、操作マニュアルの作り方でも説明しています。
新人教育マニュアルは何で作るか
作る道具は、いくつかに分かれます。
| 道具 | 向いている場面 | 注意すること |
|---|---|---|
| Word・Googleドキュメント | 文章中心。目次をつけて、印刷もしたい | 画像が増えると、体裁が崩れやすい |
| Excel・スプレッドシート | 確認表、チェックシート、一覧 | 長い文章には向かない。表の形を工夫する |
| PowerPoint・スライド | 1ページに1項目。画像を大きく見せたい | 検索しにくい。更新に手間がかかる |
| 社内のWiki・ナレッジツール | 更新が多く、複数人で直す | 最初の設計とアカウントの準備が要る |
| 操作の記録ツール | 画面の操作の説明 | ブラウザの操作だけが対象 |
迷うなら、本体は文章と表に強いWordかドキュメント、チェックシートはスプレッドシート、画面の操作は記録ツール、という組み合わせから始められます。型を使いたいときは、マニュアル作成テンプレートにWord・Excel・PowerPointの型があります。エクセルで作るなら、エクセルでのマニュアルの作り方が参考になります。
作ったあとの運用:古くしない回し方
新人教育マニュアルは、作ったときがいちばん新しく、あとは古くなります。運用の決めごとを4つ置きます。

置き場所を1つに決める
どれが最新か分からない状態は、新人にいちばん困ります。置き場所を1つにして、古いものは消します。紙で配るときは、更新日を表紙に書き、差し替えのルールを決めます。
更新の担当を1人に決める
「みんなで直す」は、誰も直しません。担当を1人決めます。新人から聞かれたこと、先輩が気づいたことを、担当に集めます。
聞かれたことを足す
新人から質問が来たら、その日のうちにマニュアルに書き足します。1行でかまいません。この積み重ねが、次の新人を助けます。「よくある質問」の章に書き足していく形が、いちばん続きます。
1か月後に、新人本人から感想を聞く
1か月たったら、新人に「分かりにくかった所」「足りなかった所」を聞きます。本人が最も正直に答えられる時期です。聞いたことを直して、次の新人へ渡します。
新人教育マニュアルでよくある失敗
- 分厚くして渡し、全部読むよう言う。新人は、どこから読めばよいのか分からなくなります。時期ごとに、今日の分だけを渡します
- 先輩だけで作って、新人に試さない。先輩には当たり前のことが、新人には分かりません。必ず新人に試してもらいます
- 手順だけを並べる。目的と判断の基準がないと、少し違う場面で止まります
- 作って終わりにする。画面や担当が変わると、古い情報で新人が困ります。更新の担当を決めます
- マニュアルとOJTを同じ内容で重ねる。マニュアルに書いたことをOJTでもう一度説明すると、先輩の時間が足りなくなります。分担を決めます
- 新人が聞きづらい雰囲気のまま。マニュアルに「分からなければここに聞く」を書いても、聞きにくければ意味がありません。質問のしかた(チャットの窓口、時間帯)を決めておきます
作り始める前のチェックリスト
作り始める前に、次の10個を確かめます。
- 新人が1か月後・3か月後にできてほしいことを、行動で書いた
- 新人の職種と経験を決めた
- 最近入った人に「困ったこと」を聞いた
- 洗い出したものを、5つの内容(マナー・理念・ルール・ツール・仕事)に分けた
- 時期(入社前・初日・1週間・1か月・3か月)ごとに並べた
- 1項目の書き方の型を決めた
- 手順だけでなく、目的と判断の基準を書く場所がある
- 新人に試してもらう日を決めた
- 置き場所と、更新の担当を決めた
- 確認表(チェックシート)を別に1枚用意した
すべてにチェックが付かなくても、作り始められます。決めていないものは、作りながら決めます。引き継ぎのような急ぎの場面は、引き継ぎ資料の作り方の進め方も参考になります。チェックシートの書き方は、チェックリストの作り方で詳しく扱っています。
よくある質問
新人教育マニュアルには何を書けばいいですか
会社のこと(理念・組織)、社会人の基本(マナー)、社内のルール、ツールの使い方、仕事の進め方の5つです。会社ごとに違う、ルール・ツール・仕事の3つに時間をかけます。
新人教育マニュアルとOJTは、どう違いますか
マニュアルは、基準や手順を文字と画面で渡すもので、何度でも見返せます。OJTは、現場で先輩と一緒にやりながら、判断や勘どころを身につけるものです。マニュアルで基本を渡し、OJTで判断を教える、という分担にすると、どちらも無駄が減ります。
どれくらいの量が適切ですか
最初から全部を作る必要はありません。まず、入社初日と最初の1週間の分だけを作ります。そのあと、新人から聞かれたことを足し、1か月、3か月の分へ広げます。1項目は1ページに収まる量を目安にすると、読み切れます。
新人教育マニュアルのテンプレートはありますか
この記事に、目次の見本、1項目1ページの型、確認表の型を表で載せました。そのまま写して使えます。Word・Excel・PowerPointの型は、マニュアル作成テンプレートで配っています。
ExcelやWordで作ってもいいですか
かまいません。文章中心ならWordやドキュメント、確認表ならExcelやスプレッドシートが向いています。画面の操作の説明が多いときは、記録ツールで作った画面つきのステップを、本体にリンクする方法が手間を減らせます。スプレッドシートでフィルタを付ける方法は、Google ドキュメント エディタ ヘルプに公式の説明があります。
誰が作り、誰が更新するのですか
作るのは、新人を教える立場の先輩や上長です。ただし、できたものを新人に試してもらい、新人の意見で直します。更新の担当は1人に決め、新人から聞かれたこと、先輩が気づいたことをその担当に集めます。
新人が読まないときは、どうすればいいですか
読まれない原因の多くは、量が多すぎる、今必要な所が見つからない、の2つです。時期ごとに分け、今日の分だけを渡します。確認表を付けて、先輩が「読んだ?」ではなく「ここまでできた?」と声をかけると、読む動機になります。
すでに社内の規程や研修資料があるときは?
新しく書き写さず、新人教育マニュアルから、その資料へのリンクで案内します。「この順に読んでください」という地図を作ると、資料が散らばっていても新人は迷いません。