引き継ぎ
引継ぎ資料の作り方|残り日数から逆算する6つの手順と書き方の見本
榎本 諒 ・ 更新 2026-10-14 ・ 約37分で読めます
異動が決まった。退職の日が決まった。来月から休みに入る。そのとき最初に言われるのが「引き継ぎ資料を作っておいて」です。
通常の仕事は減りません。その合間に、自分の頭の中にしかない仕事を全部書き出すことになります。時間は足りず、何から手を付けるかで迷います。
この記事では、引継ぎ資料の作り方を「残りの日数で、何をどの順番で残すか」に絞って説明します。業務の洗い出し、優先順位、スケジュール、引き継ぎ書と引き継ぎマニュアルの書き分け、わかりやすくするコツ、引き継ぐ側と受ける側の確認、よくある失敗まで、手順の順に並べました。
引き継ぎ書の型と項目の一覧、Word・Excelのファイルは、引き継ぎ書のフォーマットとテンプレートの記事にまとめています。こちらは進め方の記事です。
引き継ぎ資料とは
引き継ぎ資料は、自分が担当していた仕事を、後任が続けられるように書き残した資料です。「引継ぎ資料」「引き継ぎ書」「業務引継書」と書き方は分かれますが、指しているものは同じです。この記事では「引き継ぎ」と書きます。
口で説明するだけの引き継ぎは、その日は伝わった気がします。1か月後、後任がはじめて月末の処理をするときには、聞いた内容の大半が抜けています。前任はもう別の部署にいるか、会社にいません。資料は、そのときに後任が開くものです。
引き継ぎが必要になる場面
- 異動・配置転換:前任は社内に残る。あとから質問できる
- 退職:前任がいなくなる。資料に無いことは誰にも聞けなくなる
- 休職・産休・育休:一定の期間だけ離れる。戻ってくる前提で残す
- プロジェクトの担当の交代:進行中の仕事を途中で渡す
- 組織や体制の変更:部署の統合や分割で、仕事ごと移る
- 外部への委託、委託先の変更:社外の人が読む
- 属人化の解消:誰も異動しないが、1人しかできない仕事を2人でできるようにする
場面によって、書く深さと急ぐ所が変わります。違いは後半の「場面別の進め方」でまとめます。
引き継ぎ書・引き継ぎマニュアル・業務マニュアルの違い
似た言葉が3つあります。分けて考えると、何を作ればよいかがはっきりします。

| 引き継ぎ書 | 引き継ぎマニュアル | 業務マニュアル | |
|---|---|---|---|
| 目的 | 担当の交代で仕事を止めない | 後任が1人で作業できる | 部署の誰がやっても同じ結果にする |
| 中身 | 業務の一覧、進行中の案件、関係者、保管場所、懸念 | 1つの業務の流れと手順、判断の基準 | 仕事の全体、標準の手順、決まり |
| 作る時期 | 交代が決まったとき | 交代が決まったとき(ふだんから作ってあれば理想) | ふだん |
| 使う期間 | 交代から数か月 | 後任が慣れるまで。その後は業務マニュアルに育つ | 長く使い、更新を続ける |
| 深さ | 浅く広く。全部の業務を1行ずつ | 深く狭く。1つの業務を最後まで | 標準のやり方まで |
| 読む人 | 後任と上司 | 後任 | 部署の全員、新人 |
引き継ぎ書は「何があるか」の地図です。引き継ぎマニュアルは「どうやるか」の説明です。引き継ぎ資料は、この2つを合わせたものと考えると作りやすくなります。まず引き継ぎ書を1枚作り、そこに載せた業務のうち説明が要るものだけ、引き継ぎマニュアルを付けます。
すでに業務マニュアルがある仕事は、新しく書きません。引き継ぎ書に「請求の手順は業務マニュアルの3章」と置き場所を書けば足ります。引き継ぎで書くのは、マニュアルに載っていないことです。進行中の案件、取引先ごとの事情、マニュアルと実際の運用が違っている所がこれに当たります。業務マニュアルをこれから作る場合は、業務マニュアルの作り方を見てください。
もう1つ、「引き継ぎリスト」という言葉もあります。引き継ぐ項目を並べて、説明したか、後任が1人でできたかに印を付けていく一覧です。資料というより進み具合の表で、引き継ぎ書の業務一覧に「説明済み」「実施済み」の欄を足せば、そのままリストになります。
引き継ぎ資料を作る理由
- 仕事が止まらない:担当が替わった月も、請求や支払いや報告が期日どおりに出る
- 取引先に迷惑をかけない:「前の担当の方には伝えたのですが」と言わせない
- 伝え漏れが減る:口だけの説明では、言った・聞いていないが必ず起きる
- 後任が早く1人で回せる:同じ質問を何度もせずに済む
- 属人化が見える:書き出すと、1人しか知らない仕事が一覧になる
- 仕事の見直しになる:書いてみると「これは何のためにやっているのか」と思う作業が出てくる。やめる、まとめる、のきっかけになる
- 組織に残る:次の交代のときは、この資料を直すだけで済む
よい引き継ぎ資料の3つの条件
作り始める前に、できあがりの基準を決めておきます。
1. 後任が、前任に聞かずに仕事を続けられる。 目的はこれだけです。きれいに作ることではありません。
2. 仕事に必要なことが、1か所から全部たどれる。 全部を1つのファイルに書く必要はありません。引き継ぎ書を入口にして、手順、ファイル、連絡先にたどり着ければ十分です。小さな仕事も一覧には載せます。「毎週月曜に共有の受信箱を見る」のような5分の仕事ほど、資料から落ちて、あとで問題になります。
3. マニュアルに無いことが書いてある。 目的、判断の基準、過去のトラブル、関係者の事情。後任がいちばん困るのは、手順ではなくここです。
業務どうしのつながりも書きます。「勤怠の締めが終わらないと給与計算を始められない」「この集計は、翌日の会議の資料に使われる」。前後が分かると、後任は遅れたときに誰へ連絡すればよいかを自分で判断できます。
引き継ぎ資料に書く項目
項目は、どの職種でもほぼ共通です。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 基本の情報 | 前任と後任の名前、引き継ぎの期間、作った日、交代のあとの連絡先 |
| 業務の一覧 | 業務の名前、目的、頻度、締め切り、かかる時間、優先度 |
| スケジュール | 1日・1週間・1か月・1年の中で、いつ何があるか |
| 業務の流れと手順 | 誰から何を受け取り、何をして、誰に渡すか。細かい手順はマニュアルへ |
| 関係者 | 社内の関係部署、社外の窓口、相手ごとの注意 |
| システムと権限 | 使うシステム、必要な権限と申請先、IDの管理者 |
| 資料とデータの場所 | フォルダの場所、ファイルの名前の決まり、紙の資料の棚 |
| 進行中の案件 | いまどこまで進んでいるか、次にやること、期日 |
| 判断の基準とコツ | 迷ったときにどちらを選んでいるか、その理由 |
| トラブルと例外 | 過去に起きたこと、そのときの対処、よく聞かれる質問 |
| 懸念と未解決の課題 | 解決していないこと、気になっていること |
項目ごとの詳しい書き方と、そのまま使えるWord・Excelのファイルは、引き継ぎ書のフォーマットとテンプレートの記事で配っています。ここから先は、この項目をどの順番で埋めていくかを説明します。
引継ぎ資料の作り方:6つの手順

書き始める前の手順が3つあります。ここを飛ばしていきなり1つめの業務から詳しく書き始めると、3つめあたりで時間が尽きます。残りの業務は一覧にも載らないまま、最終日を迎えます。
手順1:業務を洗い出す
最初にやるのは、自分の仕事を全部書き出すことです。この段階では説明を書きません。名前だけを1行ずつ並べます。
頭で思い出そうとすると、毎日の仕事しか出てきません。記録をさかのぼって拾います。
- カレンダー:過去1年分を月ごとに見る。定例の会議、締め切り、年に1回の行事が見つかる
- 送信済みのメール:定期的に送っている報告、依頼、請求が見つかる
- チャットの履歴:自分あてに来る質問や依頼が見つかる。それも仕事の一部
- 最近使ったファイルと共有フォルダ:更新している台帳や集計表が見つかる
- ブラウザのブックマークとログインしているシステム:使っている道具と、そこでやっている操作が見つかる
- 紙:机の引き出し、決裁の箱、郵便物
頻度で分けると漏れに気づきやすくなります。

抜けやすいのは右の2つです。年に数回の仕事は、本人も前回のやり方を忘れかけています。不定期の仕事は、起きたときにしか思い出しません。「去年の今ごろ何をしていたか」を月ごとにたどると拾えます。
もう1つ抜けやすいのが、仕事だと思っていない仕事です。
- 共有の受信箱や代表電話に出ている
- 消耗品が減ったら注文している
- 月末に、ほかの人へ提出の催促をしている
- 誰かが休んだとき、代わりにやっている作業がある
- 自分の名前で登録している契約、アカウント、通知の送り先がある
洗い出した結果は、表にします。総務の担当者を想定した記入例です。

この表が、そのまま引き継ぎ書の「業務の一覧」になります。洗い出しは準備ではなく、資料の1ページめを作る作業です。
手順2:優先順位を付ける
全部の業務を同じ深さで書く時間はありません。どれから詳しく書くかを決めます。
見るのは2つです。
- 止まると困るか:お金、社外、期日がからむ仕事は、1回の遅れが外に出る
- 自分のほかにできる人がいるか:ほかにできる人がいれば、後任はその人に聞ける

| 優先 | 当てはまる業務 | 残し方 |
|---|---|---|
| A | 止まると困る。自分しかできない | 引き継ぎマニュアルを作り、後任と一緒に1回やる |
| B | 止まると困る。ほかにもできる人がいる | 要点と、聞ける人の名前を書く |
| C | 止まってもすぐには困らない | 一覧に載せ、資料の場所だけ書く |
Aに入る業務は、全体の一部です。ここに時間の大半を使います。
Aの中では、引き継ぎの期間中に実際に回ってくる仕事を先にします。月末の締めが期間内にあるなら、その日は後任と一緒にやる日として押さえます。実物でやって見せる機会は、何ページの説明より伝わります。
この段階で、やめる仕事も決めます。洗い出すと「前任から引き継いだので続けているだけ」の作業が出てきます。上司に相談して、やめるか、まとめます。引き継ぐ量が減り、後任の負担も減ります。
手順3:残り日数から逆算してスケジュールを引く
引き継ぎの終わりの日から、逆にたどって日程を決めます。前から順に予定を置くと、資料作りが延びて、後任が1人でやってみる期間が無くなります。
先に押さえる日は3つです。
- 最終日(異動の日、最終出社日、休みに入る日)
- 後任が1人でやってみる期間(最終日の前に、最低でも数日)
- 期間中に回ってくる締めや定例(一緒にやる日)
残りの日に、資料を書く時間を割り当てます。4週間ある場合の例です。

| 時期 | 引き継ぐ側がやること | 受ける側がやること |
|---|---|---|
| 4週前 | 業務を洗い出す。優先順位を付ける。上司と日程を決める | 自分のいまの仕事の整理を始める |
| 3週前 | 引き継ぎ書を書く。Aの業務のマニュアルを作る。上司に見てもらう | 引き継ぎ書を読み、分からない所に印を付ける |
| 2週前 | 資料を見せながら説明する。実際の仕事を一緒にやる。社内外に後任を紹介する | 横で見る。次は自分が操作し、前任が横で見る |
| 最終週 | 後任に任せ、質問に答える。出た質問を資料に足す。権限やアカウントを移す | 資料だけを見て1人でやる。詰まった所を伝える |
| 最終日 | 資料の置き場所を上司と後任に伝える。交代のあとの連絡先を書く | 資料の更新を引き受ける |
日数が短いときは、同じ順番のまま、やることを削ります。
| 残り | 削る所と残す所 |
|---|---|
| 2週間 | 1週めで洗い出しとAの資料、2週めで説明と同席。BとCは一覧と資料の場所だけにする |
| 1週間 | 初日に洗い出し。2〜3日めにAの業務だけ書く。残りは後任と一緒にやりながら、後任にメモを取ってもらう |
| 3日 | 1日めに業務の一覧と進行中の案件、関係者、資料の場所を書く。手順は、実際に操作しながら記録して残す。書けなかったことは「未記入」と明記する |
3日しかないときに削ってはいけないのは、業務の一覧です。手順が書いていなくても、仕事があること自体が分かっていれば、後任は誰かに聞けます。一覧に無い仕事は、存在に気づかれないまま期日を過ぎます。
スケジュールは、上司と後任に共有します。引き継ぎの時間を、会議と同じようにカレンダーに入れます。「手が空いたら説明する」では、最終日まで手は空きません。
退職のときは、最終出社日から数える
退職では、退職日と最終出社日が違うことがあります。残っている有給休暇をまとめて取る場合、引き継ぎに使えるのは最終出社日までです。逆算の起点は退職日ではなく、最終出社日にします。
退職を申し出る時期は、会社の就業規則に決まりがあることが多いので、先に確かめます。厚生労働省の大阪労働局は、期間の定めのない雇用契約について、民法では解約の申入れの日から2週間で終了することになっていると説明し、就業規則に退職についての規定がある場合は確認するよう案内しています(よくあるご質問(退職・解雇・雇止め)|大阪労働局、条文は民法 第627条)。
申し出から退職までの期間が短いほど、引き継ぎに使える日も減ります。申し出の前から業務の一覧だけでも作っておくと、日数が短くても慌てません。個別の事情は、会社の人事の窓口か、労働局の相談窓口で確かめてください。
手順4:骨組みを先に作り、優先度の高い業務から書く
書く順番にも決まりがあります。
- 見出しだけを先に全部作る:前の章の項目を見出しにして、空のまま並べる
- 引き継ぎ書(一覧の部分)を埋める:業務の一覧、スケジュール、関係者、資料の場所、進行中の案件
- Aの業務の引き継ぎマニュアルを書く
- 時間が残れば、Bの業務の要点を足す
見出しを先に作ると、途中で時間が尽きても、どこが書けていないかが資料の上で分かります。空欄のまま渡すより、「未記入。経理の担当に確認」と書いて渡すほうが、後任は動けます。
年間・月間のスケジュールを書く
業務の一覧と並んで役に立つのが、時期ごとのスケジュールです。後任は、いまの月の仕事は教わりますが、半年後に何が来るのかを知りません。
月間のスケジュールの記入例です(総務の担当者を想定した、架空の内容)。
| 時期 | 業務 | 締め切り | 渡す相手 |
|---|---|---|---|
| 毎月1〜3営業日 | 前月の勤怠の締め。未提出の人へ催促 | 3営業日の17時 | 給与の担当 |
| 毎月10日 | 備品の発注をまとめる | 10日の正午 | 購買 |
| 毎月20日 | 入退社の手続きの書類を確認 | 20日 | 社会保険労務士の事務所 |
| 毎月25日 | 請求書を受け取り、支払いを依頼 | 25日の15時 | 経理 |
| 月末 | 稼働率の集計を部長に送る | 最終営業日 | 部長 |
年間のスケジュールは、月ごとに1行で書きます。「4月:新入社員の受け入れ、座席とアカウントの準備」「6月:健康診断の日程調整」「12月:年末調整の書類の回収」。年に1回の仕事には、準備を始める時期も書きます。本番の日だけを書くと、後任は準備が間に合いません。
1つの業務の引き継ぎマニュアルに書くこと
Aの業務は、1つずつ引き継ぎマニュアルにします。入れるものは決まっています。
- 目的:何のための仕事か。誰が結果を使うか
- 始まりと終わり:何が来たら始めて、何を出したら終わりか
- 流れ:誰から何を受け取り、誰に何を渡すか
- 手順:順番に、1つずつ
- 判断の基準:迷う所と、いつもどうしているか
- 例外とトラブル:これまでに起きたこと、対処
- 使うもの:システム、ファイル、権限、資料の場所
- 困ったときに聞く相手
記入例です(架空の内容)。
業務:月末の稼働率の集計 目的:部長が翌月の人員の配置を決めるための資料。翌月2営業日の会議で使う 始まり:最終営業日の夕方、当月の記録の入力が終わったら 終わり:部長にCSVと、ひとことの所見をメールで送ったら 判断の基準:稼働率が50%を下回る人がいたら、休みや研修が理由かを先に勤怠で確かめる。理由が分かるものは所見に書く 例外:月の途中で入った人は、日割りにせずそのまま出す。部長は承知している 使うもの:経営ダッシュボード(閲覧の権限が要る。申請先は情報システムの担当) 聞く相手:数字の定義は経営企画の担当。画面の不具合は情報システムの担当
手順の部分の細かい書き方は、手順書の作り方にまとめています。引き継ぎでとくに大事なのは、手順より上の4行です。目的と判断の基準が書いてあれば、後任は画面や様式が変わっても自分で対応できます。
手順5:上司と同僚に確認してもらう
書いた本人は、抜けに気づけません。知っていることは、書いていなくても頭が補ってしまうからです。後任に見せる前に、上司と、その仕事に関わる同僚に見てもらいます。
見てもらう所は3つです。
- 業務の漏れ:上司が把握している仕事が、一覧に全部あるか
- 優先順位:Aにすべき仕事がBやCに入っていないか
- 後任の割り当て:1人に渡すのか、何人かに分けるのか。分けるなら業務ごとに後任の名前を書く
上司に見せるのは、引き継ぎ書の一覧ができた時点が最適です。全部を書き終えてから見せると、漏れが見つかっても直す時間がありません。
手順6:後任に説明して、一緒にやる
資料ができたら、後任に説明します。資料を渡して「読んでおいて」では引き継ぎになりません。
進め方は3段階です。
- 見せる:資料を開いて、前任がやって見せる。後任は資料に書き込む
- やってもらう:後任が資料を見ながらやる。前任は横で見て、口を出しすぎない
- 任せる:後任が1人でやる。前任は質問に答えるだけ
2の段階で後任の手が止まった所が、資料の足りない所です。その場で口で教えて終わりにせず、資料に足します。足すのは後任でもかまいません。自分の言葉で書き足した資料のほうが、あとで読み返したときに分かります。
社内外の関係者には、前任から後任を紹介します。メールで済ませる場合も、前任が送り、後任を宛先に入れます。取引先には、交代の日、後任の名前と連絡先、これまでの経緯は引き継いであることを伝えます。
引き継ぎが終わったら、資料の持ち主は後任に移ります。置き場所を上司と後任に伝え、後任が直せる状態で渡します。PDFだけを渡すと、後任は直せません。
言葉で書くもの、操作して残すもの
引き継ぎマニュアルで時間を取られるのは、システムの画面操作の説明です。「左のメニューの上から3つめを開き、期間を先月にして、職種で絞り込み、右上のボタンを押す」。文で書くのに時間がかかり、読んでも分かりにくい部分です。
残り日数が少ないときは、残し方を使い分けます。

- 言葉で書く:目的、判断の基準、関係者の事情、過去のトラブル。前任の頭の中にしかなく、書くしかない
- 操作して残す:システムの画面操作。どこを押すかは、操作そのものを記録するほうが速く、正確
- 一緒にやって見せる:機械の扱い、電話や窓口での受け答え、紙の書類の流れ
画面操作を言葉で書く時間を減らせば、そのぶんを、書くしかない所に回せます。
実例:月末の集計の操作を記録して残す
前の章の記入例に出した「月末の稼働率の集計」の画面操作を、ReQuill で記録しました。ReQuillはChromeに追加して使う無料の拡張機能です。記録を始める、いつも通りに操作する、記録を止める。これでマニュアルができます。
操作したのは、経営ダッシュボードのサンプルの画面です。写っている事業所と職員の名前、数字は架空のものです。やった操作は4つ。「職員別」を開く、期間を「先月」にする、職種を「看護」にする、「CSVダウンロード」を押す、です。
記録を止めると、次のステップができました。画像には手を加えていません。




できたのは、ダッシュボードを開く所から数えて5ステップと、完了の画面です。スクリーンショットを撮る、貼る、押す場所を囲む、説明文を書く、という作業はしていません。
言葉で書いた場合と比べます。
| 言葉で書く | 操作して記録する | |
|---|---|---|
| 前任の作業 | 画面を思い出しながら文にする。スクショを撮って貼り、印を付ける | いつも通りに1回操作する |
| 抜け | 慣れた操作ほど、手順を1つ飛ばして書きやすい | 押した操作が全部ステップになる |
| 後任の読みやすさ | 「上から3つめ」を画面の中で探す | 押す場所が拡大され、印が付いている |
| 書けないこと | とくに無い | 目的、判断の基準、例外は自分で足す |
記録のあとに人が足す所
操作を記録しただけでは、引き継ぎマニュアルになりません。記録に入るのは「どこを押すか」までです。編集の画面で足します。

- なぜその操作をするのか、判断の基準、例外は「補足を追加」に書きます。「看護で絞り込むのは、部長の会議が看護の配置を決める場だから」のような1文です
- 画面に写った名前や金額は、「隠す」で範囲を選んで塗りつぶします。引き継ぎの資料は社内で回るものですが、給与や個人の情報が写る画面は隠しておきます
- 間違えて押した操作もステップになります。「削除」で消します
- 表紙の題名と概要はAIが下書きします。業務の名前と合っているかを見て、違えば直します
- 記録できるのは、パソコンのChromeで開く画面だけです。デスクトップのアプリ、機械、紙の作業は記録できません。そこは言葉で書くか、一緒にやって見せます
できたマニュアルはURLで共有でき、受け取った人は登録なしで読めます。引き継ぎ書の業務の一覧に、業務ごとのURLを貼っておけば、後任は一覧から手順へ1回で行けます。PDFにもできるので、ファイルで残す決まりの職場でも使えます。記録、編集、共有、PDFは無料で、カードの登録も要りません。
わかりやすい引き継ぎ資料にする8つのコツ
1. 後任が知っていることに合わせる
同じ部署で働いてきた人に渡すのか、別の部署から来る人か、新しく入る人か。相手によって、省いてよい説明が変わります。後任が決まっていないときは、その仕事をはじめて担当する人を想定して書きます。詳しすぎて困ることはありません。
2. 全体を先に、細かいことはあとに
1ページめに、業務の一覧とスケジュールを置きます。後任はまず「全部でどれだけあるのか」を知りたいからです。いきなり1つめの業務の細かい手順から始まる資料は、終わりが見えず、読む気が続きません。
3. 結論を先に書く
「この件は、A社の担当の方が替わった経緯があり、以前は」と始めず、「A社への請求書は、毎月25日までに郵送する(メールは不可)」と先に書きます。経緯は、そのあとに1〜2文で足します。
4. 手順は、作業の順番どおりに番号を振る
「送信の前に、必ず添付を確かめてください」は順番が逆です。「1. 添付のファイル名を確かめる」「2. 送信する」と並べます。条件で分かれる所は、「金額が10万円以上のとき」と見出しにして分けます。
5. 目的と判断の基準を書く
手順だけの資料は、いつもと違うことが起きたときに役に立ちません。「なぜそうしているのか」「迷ったらどちらを選ぶのか」を1文ずつ添えます。前任にとっては当たり前で、書くまでもないと感じる所ほど、後任は知りません。
6. 社内の言葉と略語を説明する
「月次」「締め」「B票」のように、部署の中でしか通じない言葉は、最初に出た所でかっこで説明します。取引先の呼び方が社内の通称になっている場合は、正式な名前も書きます。
7. 関係者とつながりは、表や図にする
誰から何を受け取り、誰に渡すか。文で書くと長くなるので、表にします。社外の窓口は、会社の名前、部署、役割、連絡の手段、注意を1行にまとめます。担当の人の名前だけでなく部署も書いておくと、相手が異動しても連絡が付きます。
8. 見出しと書き方を揃える
業務ごとに項目の順番が違うと、後任は毎回探すことになります。どの業務も「目的、頻度、手順、判断の基準、例外、聞く相手」の順に書きます。文字の大きさ、日付の書き方、ファイルの名前の付け方も揃えます。見た目の決まりは、見やすいマニュアルのレイアウトの記事が参考になります。
書き方の直し方(見本)
| 直す前 | 直したあと | |
|---|---|---|
| 業務の説明 | 月末に請求関係の処理をお願いします。 | 毎月25日の15時までに、届いた請求書を経理へ回す。遅れると支払いが翌月になる |
| 手順 | いつものフォルダに入れておいてください。 | 共有フォルダの「総務>請求書>2026年度>10月」に、「取引先名_金額.pdf」の名前で保存する |
| 判断の基準 | 金額が大きい場合は確認が必要です。 | 10万円以上は、経理へ回す前に部長の承認をもらう(チャットで依頼。当日中に返事が来る) |
| 関係者 | 何かあればB社の方に聞いてください。 | B社 経理部の請求の窓口(メールのみ。電話は取り次がれない)。返事は翌営業日 |
| 進行中の案件 | C社の件は調整中です。 | C社の契約の更新:見積もりを10月6日に送付し、返事待ち。10月20日までに返事が無ければ電話で確認する |
| 懸念 | 書いていない | 勤怠システムの契約が来年3月で切れる。更新するかは未決定。部長と1月に相談する予定だった |
直したあとは、どれも「いつ、どこで、誰に、何を」が入っています。後任が前任に聞き返す質問は、ほとんどがこの4つです。文の書き方そのものは、マニュアル作成のコツの記事で詳しく扱っています。
エクセルで引き継ぎマニュアルを作るとき
引き継ぎ資料は、エクセルで作る職場が多くあります。業務の一覧が表なので、相性がよいからです。
シートの分け方
1つのシートに全部を書かず、役割ごとにシートを分けます。
| シート | 中身 |
|---|---|
| 1. 表紙 | 前任と後任、期間、更新日、このファイルの見方 |
| 2. 業務一覧 | 洗い出した業務の表。頻度、締め切り、優先度、手順の場所、説明済み・実施済みの欄 |
| 3. スケジュール | 月間と年間 |
| 4. 関係者 | 社内と社外の窓口 |
| 5. 進行中の案件 | 状況、次にやること、期日 |
| 6以降 | 業務ごとの引き継ぎマニュアル。1業務1シート |
業務一覧のシートに、業務ごとのシートや、別の場所にある手順のURLを書いておきます。後任は一覧から目的の説明へ移れます。
作るときに使う機能
- 見出しの行を固定する:業務一覧は行が増えます。「表示」タブの「ウィンドウ枠の固定」で見出しの行を固定すると、下へ進んでも列の名前が見えます(ウィンドウ枠を固定して行と列をロックする)
- 印刷しても見出しが出るようにする:紙で渡すなら、「ページ レイアウト」タブの「印刷タイトル」で、見出しの行を全部のページに印刷できます(全ページの先頭の列見出しとともに行を印刷する)
- 1つのセルに1つのことを書く:頻度と締め切りを同じセルに書くと、あとで並べ替えや絞り込みができません。列を分けます
- セルを結合しすぎない:見た目は整いますが、行の追加や並べ替えで崩れます。後任が直しやすい表を優先します
エクセルで作るときに気をつける所
- 版が増える:メールで送ると「最新版」「最新版2」が増えます。共有フォルダに1つだけ置き、その場所を伝えます
- 長い文章に向かない:判断の基準や経緯のような文章は、セルの中では読みにくくなります。文章が多い業務は、Wordなどの文書に書き、一覧からリンクします
- 画像を貼ると重くなり、ずれる:画面のスクリーンショットを何十枚も貼ると、ファイルが重くなり、行の高さを変えたときに位置がずれます。画面操作の説明は別に作り、一覧にはURLだけを置くと扱いやすくなります
エクセルのほかの道具
| 道具 | 向いているもの |
|---|---|
| Excel・Googleスプレッドシート | 業務の一覧、スケジュール、関係者の表、引き継ぎのチェック |
| Word・Googleドキュメント | 文章が多い引き継ぎマニュアル。経緯や判断の基準 |
| PowerPoint | 業務の流れの図、関係者の図。説明の場で映す資料 |
| 社内のWikiやノートの道具 | すでに部署で使っているなら、そこに書く。置き場所が増えない |
| 操作を記録してマニュアルにする道具 | システムの画面操作の手順 |
道具は、後任がふだん開いているものに合わせます。新しい道具を引き継ぎのためだけに入れると、後任はその道具の使い方から覚えることになります。
AIに手伝ってもらう所
文章を作るAIは、引き継ぎ資料でも使い道があります。
- 下書き:箇条書きのメモを渡して、項目に沿った文に整えてもらう
- 抜けの確認:業務の一覧を渡して、「この職種で一般に抜けやすい業務」を挙げてもらい、自分の一覧と見比べる
- 言い回しの統一:語尾や用語を揃えてもらう
任せられないのは中身です。その職場の判断の基準や取引先の事情は、前任しか知りません。AIが足した内容は、事実と合っているかを必ず自分で確かめます。取引先の名前、個人の情報、契約の金額などを入力してよいかは、会社の決まりに従います。
場面別の進め方:異動・退職・休職
| 異動 | 退職 | 休職・産休・育休 | |
|---|---|---|---|
| 交代のあとの質問 | できる | できない前提で作る | 原則としてしない前提で作る |
| 書く深さ | Aの業務を深く。ほかは要点 | Aに加えて、経緯や判断の理由を多めに | 休みの間に起きることを中心に |
| とくに書くこと | 異動先での連絡先と、質問を受けられる期間 | 自分の名前で登録しているもの全部、社外の関係者との経緯 | 戻る時期の見込み、休みの間の代わりの担当、戻ったあとに戻す業務 |
| 権限とアカウント | 後任へ移す。自分の権限は外してもらう | 個人に付いているアカウント、通知の送り先、名義を全部洗い出す | 止めるものと、代わりの担当に移すものを分ける |
| 最後にやること | 資料の置き場所を伝える | 資料とファイルを、個人の領域から共有の場所へ移す | 緊急のときの連絡の決まりを上司と決める |
異動は、あとで聞けるという安心から資料が薄くなりがちです。異動先でも新しい仕事の引き継ぎを受ける側になり、質問に答える時間は思ったより取れません。「質問は交代から1か月まで、週に1回まとめて」のように、期間と方法を決めておきます。
退職でいちばん抜けるのは、個人にひも付いたものです。自分のメールアドレスで登録した外部のサービス、自分あてに届く通知、自分のパソコンや個人のフォルダにだけあるファイル、自分の名前で取引先に登録されている窓口。退職の翌日から、どれも誰にも届かなくなります。洗い出しの段階で、別の欄を作って書き出します。
休職・産休・育休は、戻ってくる前提がある点が違います。休みの間に仕事のやり方が変わることもあるので、後任には資料を更新してもらい、戻ったときに自分がその資料で引き継ぎを受けます。体調や出産の時期によって、予定より早く休みに入ることがあります。業務の一覧と進行中の案件は、早めに作って上司と共有しておきます。
プロジェクトの担当の交代は、定型の業務より「いまの状況」の比重が大きくなります。決まったこと、決まっていないこと、次の期日、誰の返事を待っているかを、日付を付けて書きます。これまでの議事録や決定の経緯がどこにあるかも書きます。
社外へ委託する場合は、社内の言葉が通じません。略語をやめ、判断を仰ぐ相手と、委託先が自分で決めてよい範囲を書きます。
職種別:抜けやすい所
| 職種 | 抜けやすい所 |
|---|---|
| 営業 | 取引先ごとの経緯と約束ごと(値引き、納期の特例)。相手の担当の人柄や連絡の好み。見込みの案件の温度感。口頭で受けた依頼 |
| 経理 | 月次・四半期・年次の締めの日程。取引先ごとの請求と支払いの条件。例外の処理とその理由。銀行や税理士との連絡の手段 |
| 人事・総務 | 年に1回の手続きと、準備を始める時期。届け出の提出先と期限。鍵、印鑑、契約書の保管場所。業者の連絡先 |
| 店舗 | 開店と閉店の作業。発注の締め時刻と量の目安。レジや機械が止まったときの連絡先。常連のお客様への対応 |
| ITの担当 | アカウントと権限の一覧。契約の更新日。定期の作業(バックアップ、証明書の更新)。障害のときの連絡の順番。パスワードは資料に書かず、会社で決めた管理の方法で渡す |
| 管理職 | 部下ごとの状況と育成の方針。評価の時期と進め方。予算の残り。部署をまたぐ調整の経緯。部下の個人的な事情は、資料に書いてよい範囲を人事に確かめる |
引き継ぐ側・受ける側・上司がそれぞれ確かめること
引き継ぎは、前任が資料を渡して終わりではありません。3者それぞれに役割があります。

引き継ぐ側のチェック
- 業務の一覧に、5分で終わる仕事と年に1回の仕事も載っている
- 業務ごとに、頻度と締め切りが書いてある
- 優先度Aの業務に、引き継ぎマニュアルがある
- 進行中の案件に、いまの状況、次にやること、期日が書いてある
- 社内外の関係者に、後任を紹介した
- 自分の名前やメールアドレスで登録しているものを書き出した
- 権限とアカウントを後任へ移す手続きをした
- 資料とファイルが、後任が開ける共有の場所にある
- 書けなかった所に「未記入」と理由が書いてある
- 上司が一覧を見て、漏れが無いと確かめた
受ける側のチェック
- 資料を説明の前に読み、分からない所に印を付けた
- 業務の一覧の全部について、自分がやるのか、ほかの人がやるのかが分かった
- 優先度Aの業務を、資料を見ながら自分の手で1回やった
- 使うシステムに自分のIDでログインでき、必要な操作ができた
- フォルダとファイルを自分で開けた
- 直近1か月の締め切りを、自分のカレンダーに入れた
- 関係者の連絡先と、困ったときに聞く相手が分かった
- 交代のあと、前任に聞いてよい期間と方法を確かめた
- 説明の中で出た口頭の補足を、資料に書き足した
受ける側でいちばん大事なのは、自分の手で1回やることです。説明を聞いて分かったつもりでも、やってみると権限が無い、ファイルが開けない、ボタンが表示されない、が見つかります。前任がいるうちに見つければ、その場で解決します。
上司のチェック
- 引き継ぎの期間と後任を、早めに決めて伝えた
- 引き継ぎの時間を取れるよう、前任と後任の仕事の量を調整した
- 業務の一覧を見て、漏れと優先順位を確かめた
- やめる仕事、ほかの人へ移す仕事を決めた
- 最終日に、資料の置き場所と未記入の所を確かめた
- 交代から1か月後に、後任と困っていることを話す予定を入れた
チェックの表を自分の職場に合わせて作り直すときは、チェックリストの作り方が使えます。
引き継ぎでよくある失敗と対策
「聞いていません」が起きる
前任は言ったつもり、後任は聞いていない。口だけの説明で起きます。
対策は、説明した項目に印を付けることです。業務の一覧に「説明済み」の欄を作り、説明のたびに日付を入れます。資料に無いことを口で補ったら、その場で後任が資料に書き足します。
資料はあるのに、後任ができない
手順は書いてあるのに、いつもと違うことが起きると止まる。目的と判断の基準が書いていない資料で起きます。権限が無い、ファイルの場所が違う、という単純な理由のこともあります。
対策は、前任がいるうちに後任が1人でやってみることです。止まった所を資料に足します。
資料が読まれない
長すぎる、どこに何があるか分からない、置き場所が分からない。この3つのどれかです。
対策は、1ページめに業務の一覧を置き、そこから各業務へ移れるようにすることです。説明の場では、資料を開いて一緒に見ながら進めます。資料のどこに何が書いてあるかを後任が知っていれば、必要なときに開けます。
資料どおりに仕事がされない
後任が自分のやり方に変えてしまい、あとで問題になる。手順の理由が書いていないと起きます。
対策は、変えてはいけない所に理由を書くことです。「金額は2人で読み合わせる(過去に桁の間違いで過払いが起きた)」と書いてあれば、省かれません。反対に、理由の無い手順は、後任が変えてよい所です。資料は後任のものなので、変えたら資料も直してもらいます。
前任が忙しくて、引き継ぎが進まない
通常の仕事を持ったまま、最終日まで走ってしまう。いちばん多い失敗です。
対策は2つです。上司が前任の仕事を減らすこと。引き継ぎの時間を先にカレンダーへ入れること。それでも時間が無いときは、手順3の表のとおり、一覧だけは必ず作り、手順は一緒にやりながら残します。
属人化していて、書き出せない
長く1人でやってきた仕事は、本人も手順を言葉にできません。「見れば分かる」「そのときの様子で決める」となります。
対策は、実際にやっている所を後任が横で見て、後任が書くことです。前任は作業をしながら、考えていることを声に出します。画面の操作は記録して残し、判断の部分は後任が聞き取って書き足します。
人によって引き継ぎの質が違う
丁寧な人は50ページ、そうでない人はメモ1枚。部署として型が無いと起きます。
対策は、部署で同じ型を使うことです。項目と一覧の形が決まっていれば、誰が作っても最低限の中身が揃います。型は、はじめに紹介した引き継ぎ書のテンプレートを土台にできます。
ふだんから引き継ぎの負担を減らす
引き継ぎがつらいのは、交代が決まってから全部を書こうとするからです。ふだんの仕事の中で少しずつ残しておけば、交代のときは一覧をまとめるだけで済みます。
- 年に1回の仕事は、やったその日に手順を残す。来年の自分のためのメモが、そのまま引き継ぎ資料になります
- 判断の経緯を、その場で書く。なぜその金額にしたか、なぜその業者にしたか。チャットや案件の記録に1行残します
- ファイルは共有の場所に置く。個人のパソコンや個人のフォルダに置かない
- 連絡は、個人あてではなく共有のアドレスやチャンネルで受ける。担当が替わっても、やり取りが残ります
- 半年に1回、業務の一覧を見直す。評価の面談の前など、時期を決めておきます
- 休みを取るときに、小さな引き継ぎをする。数日の休みの前に1つの業務を同僚に渡すと、資料の足りない所が分かります
よくある質問
引き継ぎ資料に何を書くべきですか
基本の情報、業務の一覧、スケジュール、業務の流れと手順、関係者、システムと権限、資料とデータの場所、進行中の案件、判断の基準、トラブルと例外、懸念と未解決の課題です。時間が無いときは、業務の一覧、進行中の案件、関係者、資料の場所の4つを先に書きます。この4つがあれば、後任は残りを人に聞いて埋められます。
引き継ぎリストの作り方は?
業務を1行ずつ書き出し、頻度、締め切り、優先度、手順の場所の列を付けます。そこに「説明した日」と「後任が1人でやった日」の欄を足します。カレンダー、送信済みのメール、共有フォルダを過去1年分さかのぼると、漏れが減ります。できたリストは上司に見せて、足りない業務が無いかを確かめてもらいます。
引き継ぎ書はどのように作成すればわかりやすいですか
1ページめに業務の一覧を置き、全体を先に見せます。業務ごとの説明は、目的、頻度、手順、判断の基準、例外、聞く相手の順に揃えます。文は結論から書き、「いつ、どこで、誰に、何を」を入れます。社内の略語には説明を付けます。最後に、後任に資料だけを見てやってもらい、止まった所を直します。
引き継ぎマニュアルの作り方は?
優先度の高い業務から、1つの業務につき1つ作ります。目的、始まりと終わり、流れ、手順、判断の基準、例外、使うもの、聞く相手を書きます。手順は実際に作業をしながら書くと抜けません。システムの画面操作は、操作を記録してマニュアルにする道具を使うと、書く時間を判断の基準や例外の説明に回せます。
引き継ぎ資料は、いつから作り始めればよいですか
交代が決まった日に、業務の洗い出しを始めます。資料を書く時間より、後任が1人でやってみる期間を確保するほうが大事なので、最終日から逆算して日程を引きます。交代の予定が無くても、業務の一覧だけはふだんから持っておくと、急な交代でも慌てません。
引き継ぎの期間は、どのくらい必要ですか
決まった日数はありません。目安は、月に1回の仕事を後任と一緒に1回やれる長さです。月次の締めがある仕事なら、締めを1回はさめる期間を取れると、後任は実物で覚えられます。取れない場合は、前回の締めで使ったファイルや記録を見せながら説明します。
後任が決まっていないときは、どうすればよいですか
その仕事をはじめて担当する人を想定して書き、上司に渡します。説明の場が無いので、資料だけで分かるよう、目的と判断の基準を多めに書きます。資料の置き場所と、自分に連絡が付く期間を上司に伝えます。画面の操作は記録して残しておくと、説明する人がいなくても伝わります。
引き継ぎ資料は、WordとExcelのどちらで作るのがよいですか
業務の一覧やスケジュールのような表はExcel、経緯や判断の基準のような文章はWordが向いています。一覧をExcelで作り、文章の多い業務だけWordで書いてリンクする、という組み合わせが扱いやすくなります。後任がふだん使っている道具に合わせるのが第一です。
パスワードは、引き継ぎ資料に書いてよいですか
資料には書かず、会社で決められた方法で渡します。資料は共有の場所に置かれ、多くの人が開けるからです。資料には、どのシステムにどのアカウントがあるか、管理しているのは誰か、権限の申請先はどこかを書きます。個人のアカウントを使い回さず、後任のアカウントに権限を付けてもらうのが基本です。